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『すみません…またご迷惑と気まで使って頂いて…』
「いいですって。俺もちょっと酔ってたんで」
お店の外のちょっとしたスペースに悪酔いをした私を夜風に当たらせお水を渡してくれる菊池さんに口から零れるのは謝罪しかない。
多分、お二人は私が無理矢理飲まされていることに察して気を使ってくれたんだ。
そのスマートさはかっこ良すぎるのだがそれ以前に申し訳なさで体が支配される。
『本当にすみません…お二人とも折角楽しく飲んでたのに』
「別に普通に飯食ってただけですよ。
それよりも…大丈夫ですか？あの人ちょっと強引で厳しい所があると聞いたことあるんでAさん気を悪くしてないかなって」
優しく、でも強い口調は私の返答を促していた。目を伏せ口に含んだお水がつんざくように冷たく貫く。
あげた顔は彼の真剣な瞳に射抜かれて、曖昧に笑えば綺麗な顔を歪ませた。
『大丈夫です。私は今回初めてで向こうの方はベテランさんなので色んなこと言われて当然ですよ』
制作時に言われた言葉や態度がフラッシュバックのように点滅する。
バンドのことや音楽仲間のことを悪く言われたら流石に無理だったが、自分の不甲斐なさや多少の価値観の違いだ。別に言うほどのことではないだろう。
何か言いたげに口を開いたその瞬間、お店に繋がる扉が勢いよく開いて二人でそちらの方に視線を向ける。
「菊池〜Aさんどう？」
「びっっくりした…もっと静かに開けろよな」
ひょっこりと現れた中島さんに菊池さんが苦笑いする。えへへと可愛らしく笑うもお酒の香りが濃厚に漂っていてアルコールとは違った眩暈がした。
菊池さんな私に視線を向けた後、中島さんに向き直った。
「ん、さっきより顔色良くなったけどこのまま戻してもまた飲ませるだろあの人」
「多分ね。俺もう飲めないって言ってるのに勧めてくるしさ〜まぁ上手くかわせるからいいけど」
「そうだよなぁ…そうなるとやっぱり帰るのがベストか。Aさん具合悪そうだから帰ったって伝えおいてくれるか？」
「勿論。そう思ってAさんの荷物持ってきてタクシーも頼んでおいた」
どうぞ、と私のバックと上着を渡してくれた中島さんに菊池さんが流石だなと微笑む。
一人理解が追い付かないまま引っ張られた私はにこにこと手を振る中島さんの姿がデジャヴのように感じた。
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カノープス - にこさん» にこさんありがとうございます！頑張っていこうと思いますのでのんびり読んでくださると嬉しいです…！ (2021年5月7日 19時) (
レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！すごくこれからの展開が楽しみです！応援してます！！ (2021年5月4日 0時) (レス) id: fd9c2932e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カノープス | 作成日時：2021年4月7日 21時
