Music52 ページ5
「最近大変そうだね、A」
「はは……まあな」
時刻は23時14分11秒。
俺は、いつものように髪を解いた美風と隣り合わせになって、1日の終わりの秘密の逢瀬に時間を溶かしていた。
この時間が、実は俺のいちばんの楽しみでもある。
美風の隣にいると、なんといっても心が落ち着くんだ。
毒舌王子の優しい声に耳を傾けるだけで、1日の疲れが吹き飛ぶような気がする。
さすが乙ゲーの攻略対象…一緒にいるときの安心感が半端じゃない。
俺がもし女だったら堕ちてたこと間違いなしだな、とか思ってしまう。
乙ゲー苦手な俺でさえここまでにしてしまううたプリキャラ、恐れ入りました。負けました。
苦笑が止まらない俺。
美風に怪しまれる前に会話を進めなければ。
「まいらす、だったっけかな。それに俺が出ることになったんだよ」
「知ってるよ。レイジが自慢げに話してた。相変わらず能天気なんだから……またAが倒れるようなことになったら、タダじゃおかないつもりだよ」
「おい…嶺二にあんまりプレッシャーかけんなよ?」
「大丈夫、ボクが見てきた彼はこの程度でへばるようなヤワな人間じゃないって知ってるから」
…なんだかんだ言って、美風も嶺二のこと信頼してるんだよな。
『カルナイ解散の危機』ってのはまだ先の話みたいだけど、この分なら大丈夫そうだ。
そりゃ、嶺二の他がツンデレ3人(こんなこと言ったら3人に殺されそう)だったらすれ違いもありますわ。
頑張れよ、嶺二………(誰視点なんだ俺)
「そういえば、QUARTET NIGHTの新曲聴いたよ。…そうそう、Starlight Memory」
「それなら…出来ればAの感想が欲しい。あの曲もボク達の歌も、まだまだ改善点があると思うんだ」
穏やかだった目も、歌の話になれば真剣な眼差しに変わる。
音楽にこんなに真摯に向き合ってる所、本当に尊敬するよ。
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月23日 18時