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Music47 ページ48

美風と会話を交わしていると、俺は唐突に、眠気に似たナニカに襲われた。


感覚で言うと、眩暈と眠気を足して2で割ったような感じ(やはり非常に分かりにくい)だ。


意識が持っていかれそうなほど強烈なそれに、俺は思わず反射的に顔を顰める。






「A、大丈夫?」

「ごめん………なんか、意識が飛びかかった」






“人間”だった時には感じたことの無い不思議な感覚。


もしかして、体のどっかが壊れたとか言わないよな?




物凄く心配になっている俺に対し、美風は少し考えてから時計を見ると、納得した表情で「ああ」と零した。


時刻は日付が変わる少し前。


正確に言うと、23時58分47秒。







「A、君はもう寝る時間だよ」

「…!」







そう言うと、美風は俺のシャツのボタンを上から2つくらい外した。


あまりにも急すぎて吃驚してしまったが、美風は根拠の無いことを実行に移す奴じゃない。


俺は抵抗することもなく、黙っていた。


…恥ずかしいとは、“思えなかった”。



多分その『感情』自体が、とっくの昔に既に削除されてしまっていたんだろう。







「忘れてるなら教えてあげる。君は午前零時になると自動スリープモードに移行するんだ。勝手に充電されるシステムになってるから、それについては心配しなくても大丈夫」

「そうなんだな、なら安心したよ。……ん」







俺の額に手を当てて体の温度を確認する美風は、くすぐったそうにする俺を見て、微笑んだ。



そして、ベッドにまた横たわる俺。



瞼が重くなってくる。



頭の中に機械音のようなものが響いて、聴覚もシャットアウトされる。






五感のうち視覚を除く4つを閉じられた俺に分かるように、美風は口の形だけで言った。


その整った顔に、慈愛に溢れた笑みを添えて。









『…おやすみ、A』

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作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時

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