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Music46 ページ47
どれくらい時間が経ったんだろう。
暫く横になって大人しくしていると、弱々しいノック音と共に、扉の向こうから声がした。
「A……いる？」
「…ああ、“いる”よ」
嘘だ。
本当は音羽はここにはいない。
でも、居るとしか答えられないじゃないか。
あの時…あんな悲哀に満ちた瞳を見せられたら、さ。
「お疲れ、美風…」
「うん、Aも」
思った通り、現れたのは美風藍だった。
でも昼間の威勢の良さはどこへやら、今の美風には覇気みたいなものが一切感じられない。
俺はとりあえずベッドから起きて、美風に隣に来るように促した。
「今日の仕事は、残念だったね」
「それは…まあ、俺のせいだけどな。これからは気をつけるよ、その、歌いすぎない？ように」
「当たり前でしょ。プロとしての自覚、記憶喪失になったとしても忘れたとは言わせないから」
「ふっ………ああ、そうだな」
美風は、座ると急に結っていた髪を解いた。
うわ、近くで見ると本当に整ってる。
クールっていうか、大人っぽいっていうか。
これが俺より年下とはな…アニメってマジで怖い。
「………なに。ボクの顔、どこか変？」
「いや、何でもない。ただ綺麗だって率直に思っただけ」
そう俺が答えると、美風は「意味わかんない」と言って俺から顔を背けた。
…多分、照れてるんだろう。天邪鬼なやつだよな。
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作者名：蒼乃 | 作成日時：2020年6月10日 21時
