Music45 ページ46
「ただいまー……」
早乙女学園に帰ってきました。
俺です。
外に出ていたのは半日くらいのはずなのに、何だか転生してきた朝がすごく前のように感じます。
そして、とても疲れました。
別人の部屋に帰ってくるっていうのも、変な感じ。
この違和感も、時間とともに薄れていくんだろうか。
窓の外を見ると、仕事帰りの電車の車窓から見たのと変わらない夜空。
少し、落ち着いたかな。
「……あれ…?」
そう思うと、自然と目から雫がひとすじ、頬を伝った。
悲しいわけじゃないのに。どうして。
…ロボットも、泣くんだな。
ベッドに倒れ込んで、白い天井を見つめる。
「俺……これからどうなっちゃうんだろ」
アイドルになる。
決意してみたはいいけど、アニメ特有の洗練された美貌を手に入れたところで、中身はただの三十路社畜凡人♂だ。
上手くいくかどうかは、正直全く分からん。
でも、今の音羽を救ってやれるのは、他でもない俺だけだ。
「音羽A……か」
部屋に貼ってあるポスターの音羽。
初めて見た時は『妖艶』みたいな表現をしたけれど、今見るとすごく悲しげな表情をしているようにしか見えない。
音羽は、一体何を思ってアイドルを続けて来たんだろうか。
苦しんでまでアイドルを続ける理由。
それは、きっと俺には到底分かるものではない。
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作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時