【男主】乙ゲー苦手な俺が何故かうたプリの世界に転生してしまったんだが (ページ39)

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Music38 ページ39

その圧倒的重厚感とも言うべき、鼓膜の奥底が震えるような低音。

この世界でこんな声を出せる人間を、俺は1人しか知らない。

恐る恐る振り返ると、そこには…

「何処へ行く気だ、愚民。…まさか、俺との約束を忘れたとは言わせんぞ」

そっ………

そうだった………ッ！！

まだ俺の危機は過ぎ去ってなかった。

むしろこれからが本番だった。

さっきのはただの非常事態だ。

違う、俺が本当に恐れていたのは……カミュだ。

「…忘れたわけじゃない、少し外の空気を吸いたかっただけだ。俺が倒れたことは知ってるだろ？」

「貴様の事情など知ったことか。良いから着いてこい、俺も暇ではないのだからな」

忘れたままでいたかったよ、俺は…

カミュから逃げられるとは思ってなかったけど、せめて気配を消して背後に立つことだけはやめて欲しい。

くるりと踵を返して歩き出すカミュに、俺は先程よりもっと重くなった足取りで着いていった。