Music37 ページ38
俺は美風と別れて、医務室を後にした。
なんか…今日1日やることなくなったな。
俺としての初仕事は散々な結果に終わったし。
やっぱり軽率な行動、取るべきじゃなかったな…
でも、歌っただけで怒られるとか、この世界も変わってる。
…いや、俺が変わってるだけか。
自分がロボットだなんて未だに信じられないけど、美風がロボットだって事実がある以上、嘘だと切り捨てることもできない。
関節から機械っぽい音が鳴るわけでもない、視界にドラゴン○ールのスカウターみたいなのが出るわけでもない。
もうほぼ人間と同じだよ。
「あー、あー……ぁ゙っ…………げほっ!」
あー…ダメだ、歌おうとすると身体が拒否る。
大きく咳き込むと、喉がちくりと痛んだ。
これが、例の「リミッター」とやらか。
ほんとに上手くできてるよな、この身体。
重い足を半分引きずって、1階に続くエレベーターへと向かっていた時。
「音羽」
聞き覚えのある声が、俺を呼び止めたんだ。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時