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Music35 ページ36
「A………ねえ、聞いてるの？」
俺は美風に呼ばれても、気づかないフリをした。
あまりにも濃すぎる記憶。
音羽の心臓に直接触れたかのような生々しさ。
今の俺は、音羽と文字通り一心同体。
だからこそ分かる、この『苦痛』。
痛いのに、痛くない。
こんな感情はプログラムから外されているから、本当は“痛くない”の方が正しいはずなのに。
なのに…なんで、
どうしてこんなに、痛い………？
「A！！」
「…少し、悪い夢を見てたんだ。とても短いけど……とても、哀しい夢を」
俺の異世界転生ライフは、どうやら一筋縄ではいかないようだ。
俺は自分でも分かるくらい痛々しい笑みで、言った。
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作者名：蒼乃 | 作成日時：2020年6月10日 21時
