Music34 ページ35
美風が話してくれたことを要約すると、大体こんな内容だった。
俺、音羽Aは、歌う、踊ることに特化した「ソングロボ」改め『アイドルロボ』。通称“
博士が、美風藍の人気ぶりを見たシャイニング早乙女から「ソングロボ2号」を作るように言われて始動したプロジェクトである。
美風藍が『如月愛音に感情を伝えるため』に作られたのに対し、音羽Aは『アイドルになるため』に作られたので、多少は水や熱に強くなっている。
感情がほぼない。必要最低限のものはプログラムされているが、その他は「アイドルに必要のない感情」として切り捨てられる。つまり、美風より感情に関して疎くなっているため、心の変化に柔軟に対応できない。
→感情が左右されるとオーバーヒートする恐れあり
…ただ、歌うとエネルギー消費が極端に激しく、歌いすぎるとリミッターが作動し、意識が強制シャットダウンされる。
1日に歌える時間が制限されているので、長時間ステージに立ち続けなければならないライブ等は滅多に行わない。
それらのことから、ファンの間では“触れることの出来ない画面越しの偶像”…すなわち、
「不可触の天使」
◇◆◇◆◇
「そう、君はボクの少し後に作られた……ボクの弟みたいな存在なんだ。ロボットだってことはレイジ達には内緒にしてるけどね」
「ボクがアイネに感情を教えるために生まれたのと同じように、君は“アイドルになるため”に生まれた」
『アイドルになるため』………
その言葉を俺の耳が聞き取った瞬間、僅かな頭痛と共に、脳内に過去の記憶らしきものが蘇ってきた。
♪…♪…♪…♪…♪
君は、アイドルになるべくして生まれたんだ
ごめんなさい、皆さん。でも、僕は
A…………君は、ボクの____
…残念だ、音羽。
♪…♪…♪…♪…♪
苦しい、苦しいよ。
どうしてこんなに、胸が痛いんだろう。
藍と違って、感情なんて僕には必要ないのに。
いっそ消えてしまえれば、こんな思いはしなくて良くなるのかな………
ねえ藍、みんな……
ぼくを、たすけてよ。
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作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時