検索窓
今日:19 hit、昨日:8 hit、合計:20,106 hit

Music31 ページ32

俺は驚いて、言葉も出なかった。





「………。」





何も言わずに、ただ俺の首に手を回して自分側に引き寄せる美風。


さっきの柔らかい感覚が、今度は身体全体に………って変態発言は程々にしておいてだな。



えっそうなの?美風と音羽って『そういう』関係なの?

BのLな感じなの?違うよね??

誰か違うって言ッテクレ………(カタコト)






「………まり………」


「…美風?」






声は、震えていた。


その絞り出すような声に、俺は「大丈夫か」と言いかけて閉口する。


首に回された手に力が籠って、更にぎゅっと抱きとめられる。







「あんまり………心配かけないでよ、A」



「…!!」







そして、今度は絶句した。



そうだ。



美風は誰よりも俺を心配してくれていたのに。



……俺は、何も考えていなかった。



いや、考えることを放棄していたんだ。



いくら転生してきた身とはいえ、この「音羽A」という人間の人生を勝手にめちゃくちゃにしていいわけが無い。



そんな道理があってたまるか、って話だ。



俺はこの人間に生まれ変わった『責任』がある。



いつ元の体に戻るのか、または消えてしまうのか…それは俺にも分からない。



だけどそれまでは、俺は何を言われようが「音羽A」なんだ。



「音羽A」として、俺が今出来ることを精一杯やる。




こんな簡単なこと…どうして今まで気づかなかったのだろう。







「ごめん………ごめんな、美風」







今にも嗚咽し出しそうな美風の頭をそっと撫でて、俺はそう零した。

Music32→←Music30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:うたプリ , 転生 , カルナイ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。