Music28 ページ29
『さて…本日のゲストは、今話題の超人気男性ソロアイドル!
シャイニング事務所でQUARTET NIGHTに続いて彗星の如く現れた、“不可触の天使”Sacred idolこと、音羽A!!』
とても俺には似合わない盛大な肩書きがスタジオに響き、スタッフが小声で「どうぞ」とカメラの前へと促す。
曲のイントロが流れ始め、観客のテンションも高まりつつある。
俺はひとつ深呼吸をして、呟いた。
「上手くいきますように…!!」
もっとカッコイイ決め台詞は無かったものかと心の片隅で思いながら、俺は光り輝くスポットライトの元へ向かって一歩を踏み出したのだった。
◇◆◇◆◇
…収録で唯一俺が心配だったことは、『ちゃんと踊れるか』ということだった。
曲は部屋に音源があったから、何とか歌詞は覚えきれたんだがな。
体力には自信あったし、人よりは動ける気はしていた。
それより問題は、ガチのぶっつけ本番で、振り付けが分かるのかってことだ。
それは、もう俺の奥底に眠っている音羽の記憶に頼るしか無かった。
……
結論。
幸い、ステージに立ってメロディを聞けば、自然と体が動いた。
合ってるかどうかは別として、それらしいパフォーマンスは出来ていた。
『My White Étoile 刹那に煌めいて
雪のように儚い君に
永久の愛を Ah 捧げよう___』
このままいけば、何事もなく収録は終わるだろう。
…そう、油断していた。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時