103 ページ8
Aside
あの後色々な店を回ったりして、終始ニヤニヤしていたしのぶたちとも別れた
『じゃあまたな、しのぶ、蜜璃』
「えぇ、また。良い報告期待していますよ?」
「またねAちゃん!頑張ってね!!」
蜜璃の「頑張ってね!!」という言葉に苦笑し、『どうだかな』と踵を返す
あの会話を思い出す度に頬が熱くなるのを感じ、思わずため息をつく
屋敷に帰り、縁側で夜風に当たっていると蛍が静かに肩に降りてくる
『…どうしたんだい蛍』
「義勇カラ文ダ!」
『なんて時に送ってくるかな』とクスクスと笑う
でも全く嫌でもなくて、頭の片隅で義勇に会いたいと思ってしまう自分にまた頬が熱くなる
文の内容はというと
「明日出かけないか、」と
『本当に、なんて時に…』
かといって断る理由もなく了承の意を込めた文を送る
『じゃあ頼んだぞ』と蛍の足に文をくくりつけると「ヤットダナ!!」とその凛々しい顔に笑みを浮かべて飛び立っていった
その言葉に思わず呆気にとられる
『「やっと」って…蛍も知ってたのか?』
そんなに分かりやすかったか?と顎に手を当てて首を傾げ、
明日を密かに心待ちにしながら床についた
・
・
・
翌日の昼過ぎ、言われた場所に行くとそこには着流し姿で待っている義勇が
『…義勇』
その名を呼ぶと深い蒼の瞳をこちらに向けて目を細め、口元は緩く弧を描いていた
「綺麗だな」
突如聞こえたその言葉に目を丸くしていると、義勇がこちらに手を伸ばしてきて私の手を取る
「…人が多いからな」
言い訳をするかのようにそっぽを向いた義勇の顔は見えなかったもののその耳は赤く染まっていた
他愛無い話をしながら様々な店を歩き回り、ある店の前で義勇の足が止まった
『髪飾り?』
『義勇、遂に髪飾りつけるのか?』
笑いを含んだ声でそう聞くと「…違う」と静かに遮られる
「Aに似合いそうだ」
柔らかな笑みを浮かべてそう言った義勇に不意をつかれて顔に熱が集まる
「熱でもあるのか?」と義勇が私の前髪をかき上げて額をくっつけてくる
義勇の端正な顔が目の前にあって、耐えきれずに目を逸らす
『人前だぞ…義勇』
「ない…のか?」と首を傾げる義勇に思わず笑う
『あぁ、大丈夫だよ。なんだか今日はいつもと違うな義勇』
「そうか?……そうかもしれないな、俺はもう遠慮するのはやめにしたんだ」
166人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
#蛍(プロフ) - 楽しんでもらえて嬉しいです!大分時間も出来てきたので更新していけると思います…!これからも頑張りますのでよろしくお願いします!! (3月12日 9時) (レス) id: 8bcba223d3 (このIDを非表示/違反報告)
るー - いつも楽しく読ませていただいています。本当にこのシリーズ大好きです!お忙しいとは思いますがまたの更新を楽しみにしています!! (1月15日 20時) (レス) id: 98af811556 (このIDを非表示/違反報告)
#蛍(プロフ) - Lunaさん» お話大好きと言ってもらえてとても嬉しいです!胸キュンして頂けて良かったです🥰 (2023年2月27日 14時) (レス) id: 985513302e (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - お話大好きです!!胸キュンさせていただきました🥹💕 (2023年2月1日 18時) (レス) @page17 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
#蛍(プロフ) - Lunaさん» はじめまして!コメントありがとうございます!!いやあもう胸キュンしていただけるのは嬉しいです!!冨岡さんはイケメンなので書きやすいです笑こちらこそ読んでいただきありがとうございます! (2022年12月5日 19時) (レス) id: c3b6655689 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蛍** | 作成日時:2022年10月2日 1時