着信22 ページ22
*
冷たい風が、頰を撫でていって、眠りから目が覚めた。
自由になった腕をゆっくりと持ち上げて、目に押し当てる。
汗でぬれて、ベトベトしている肌に、風が丁度よかった。
自分を落ち着けるために、なんども、繰り返し口呼吸を念入りにする。
大きく吸って、吐いて。吸って、吐いて。
「あ、A起きたか?」
私の呼吸の音だけが聞こえていたところに、ガラガラと能天気な音がした。
そして、太陽が雲間から光が降り注ぐように、翔陽が入ってきた。
「うっわ〜一番会うの気まずい奴きたわー」
今度は、腕ではなく、両手で目を覆う。
これは翔陽にしかできないこと。
へ、と間抜けな翔陽の声が聞こえて、私はベットに手をついて起き上がり、伸びをする。
そして、なんとなく、医務室の小さな窓に切り取られた空を見た。
その空の色はとても美しい、茜色。ああ、明日は晴れだ、なんて場違いなことを考える。
首を回すとゴリゴリと不愉快な音がした。
でも、私は顔を歪めない、というか、そもそもが無理。
そっと、足を床に降ろして、翔陽に尋ねる。
「あの…翔陽サン…研磨とクロってご機嫌如何なのでしょうか…?」
意識が戻ってきた時から、ちょっと気になっていたことを聞いてみる。
大体、私がぶっ倒れたっていうと、研磨はいつもの無表情で、目が覚めたばかりの私を観察するだろうし、クロだったら、十時十分の時計の針のように、眉を釣り上げてるだろうし。
「いや?研磨は何にも言ってなかったけど…それより、」
それより?どうかしたの、と聞こうと思ったその瞬間に顔が青く染まる。
「翔陽!?」
心配になって、彼の元にかけより、肩を掴めば、まるで遺言のように囁いた。
「影山が…」
飛雄が!?という私の精一杯のツッコミは翔陽には届かず仕舞い。
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七瀬杏樹(プロフ) - あ、ありがとうございます!ここはまだまだ序章なのでこれからも読んでいただけると幸いです! (2017年1月2日 21時) (レス) id: 3067bbe722 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 見に来ましたあぁぁぁ!!!全然向いてなくないじゃないですか!面白かったです!更新頑張ってください^^ (2017年1月1日 21時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Annzu/.
作成日時:2016年8月19日 10時