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第三三話「身請け」 ページ34

これでいい。宇髄さんが匿ってくれるというのだ。嫁という立場の方が都合がいい。もう二度と錆兎も私を追いかけることもないだろう。これ以上貴方に何もできないのに、このまま会ってしまったらまた戻りたくなってしまう。義勇には貴方だけが必要なのだ。

「身勝手だとは思います姐さん。貴方には数え切れないほどの恩があるのに…」

私は頭を下げ姐さんに頭を下げる。花街を抜ける。それは一生ないと思っていた。でも錆兎が私を探してる今、私はここを出なくては。

「…頭を上げてA」

初めて姐さんが私の事を呼び捨てで呼んでくれた。私は頭を上げればあの時のように優しく微笑んだ姐さんがいた。

「私ね、Aが居てくれてとても楽しかったの。それで十分。私を笑顔にしてくれた」

姐さんはそう言って私をフワリと抱きしめた。ここでは学んだことがたくさんあった。怖い事もあったけれど楽しい事もあった。ここは、私の第二の故郷だ。

「ありがとう、姐さん…私をここまで育ててくれて」

「…幸せになってね、A」

姐さんはそっと私を離すとギュッと手を握りしめる。私はそのまま立ち上がり姐さんから離れる。姐さんはあの時のように名残惜しそうに私の手を最後まで握ってくれた。

「もういいのか」

宇髄さんが私の荷物を持って待っててくれた。私は部屋を出てコクリと頷いた。

「長くいると余計出るのが辛いので」

私はスタスタと歩き玄関先まで行く。そこには泣きそうな禿達が出迎えをしてくれた。私はその子達に別れを告げると店を出た。

別れは辛い。辛いけれどこれが最後ではない。また、会いに来るから。それまでどうか。

「行くぞー!A!」

外に出てお店を眺めていたからか、遠くから宇髄さんが私を呼んでいる。私は急いで宇髄さんの隣へ並んだ。

「…そう不安がるな。俺がお前を寂しくはさせない」

宇髄さんの大きな手が私の頭を撫でた。その言葉に私は微笑んだ。顔も良ければ、性格もいいなんてとんだ男ですね。

「ずるい人…」

私は、身請けされこの花街を抜けた。

第三四話「あと一歩」→←第三二話「表面上」



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❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時

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