第二五話「思い出したこと」 ページ26
それからはまあ大変だった。人探しは不向きで、俺はひたすら道行く人にAを知らないか聞いて回った。ただ道行く人は首を横に降るだけだった。そりゃそうだ。Aの事を名前だけしか知らないのだ。あれから何年経ったと思うんだ。流石に容姿も変わっている。何度も挫けそうになったがAのお面のカケラを見ればその疲れも吹っ飛んだ。
「…忙しいのか？」
「ん？ああ、まあな…だがお前の方が忙しいだろう。調子の方はどうなんだ」
俺の隣で心配そうに顔を覗き込んだ義勇。俺はそれに気づくとお面のカケラをすぐに懐にしまった。夜も昼も眠れない日々を過ごす。だからか、義勇は俺の目の下の隈を見て眉を寄せた。
「変わりないが…」
「そうか…」
義勇は俺の話はどうでもいいとでも言うように俺を心配していた。俺はそんな義勇に微笑む。
「気にするな義勇。少し…疲れてるだけなんだ…」
俺はそう言って座ったまま頭を抱えた。義勇に、こんな姿を見せるべきではないと思っているがこうも連続して続くとな…俺は大きなため息をつけば義勇は口を開いた。
「何か俺に隠してないか？」
「！」
俺はその言葉に目を見開いた。抱えていた頭をあげ、義勇の方を見た。だが義勇の表情は、無、そのものだった。だが何か気づいているのだろう、まさか義勇がそんなことを言うなんてな。俺はすぐに微笑んだ。大丈夫だ、義勇。必ず今度はお前の元にAは戻すから。
「…そんなに心配するな。俺は平気だ」
俺はそう言って立ち上がった。今日は任務が待っている。その前にAの聞き込みをしよう。早くあいつに会わなければ。俺はそのまま心配したままの義勇と別れ街中を歩く。通り過ぎる奴らは俺の顔をジロジロ見始める。きっと、頬の傷が気になるのだろう。だが俺はあることに気づき足を止めた。
頬の傷…？あのとき確かAも…
俺は自分の頬の傷に触れた。あのときAは俺と同じ頬に傷を負っていた。もし本当に生きているのなら傷痕が残っているはずだ。俺はそれが分かった瞬間眠気と疲れが吹っ飛んだ。
もう、Aはすぐそこだ。
______
たくさん御指摘いただいたのですが、錆兎は苗字がないので鱗滝さんの名字をお借りして名乗っています。宇髄さんは基本苗字で呼ぶので錆兎の事を鱗滝と呼びます。ややこしくてすいません。
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❤︎ - 面白かったです〜！！！最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜！！何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです！待ってますね。 (8月24日 21時) (
レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです！！！更新待ってます！！！！！！！！ (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き！続きはどこ？！ねぇ？！（（やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます！！ (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり！？更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2019年11月17日 20時
