第十七話「水柱」 ページ18
Aが死んで、年月は流れた。俺と義勇は鬼殺隊に無事入れた。義勇は自分を責め続け己を叩き上げ、俺と肩を並べるほど強くなった。その代わり昔のように義勇は笑わなくなった。義勇は責任を感じているのだろう。
Aの形見である厄除の面は鱗滝さんに頼んで、血がついていないカケラを義勇と俺が持っている。あの出来事を忘れないように。あの鬼への怒りを、忘れないように。だから斬って斬って斬りまくった。俺の家族、愛する人を奪った悲しみを鬼への怒りへと変えた。
気づけば俺は17の時を迎えた。
「錆兎、君を水柱へと任命しよう」
お館様から呼び出しがかかったので伺えば、俺は水柱へと任命された。俺はその時義勇の顔が思い浮かんだ。あいつは、自分の責任を感じ自分自身で追い込んでいる。任務で会う頻度も少なくなってるが、あいつは今もなおAの面影を背負って生きてるのだろう。
「…お言葉ですがお館様」
俺は頭を下げたまま淡々と言葉をつなげた。
「俺ではなく、義勇をどうか水柱に任命してやってください。
「義勇を?どうしてだい?」
お館様は笑顔のまま答えた。たしかに俺はお館様から直々に任命されてる今、俺がなるべきなんだろうと思う。だが、俺ではなく義勇になってほしい。義勇は前とは比べ物にはならないぐらい、強くなった。
「…奴はどうも強くなることばかり考えてるやつです。水柱にさせる事によって仲間の大切さを今一度思い出して欲しいんです」
俺は身勝手なお願いをしていると思う。だがそれでも義勇には歩み始めて欲しい。あいつだって男だ。いつまでもAの後を追うようでは歩めやしない。
「…いいよ。あの子もまた錆兎と同じぐらい強いからね」
「ありがとうございます」
俺は頭をまた深く下げた。俺は鬼殺隊の甲のまま。そして義勇は柱へと任命された。義勇には俺が元々なるべき水柱だとは知らせなかった。そう言えばきっと義勇は自ら柱を辞め、俺になれと言っただろうから。
義勇が柱になり、しばらく経った頃。俺を訪ねて義勇がやってきた。俺は何事かと思ったが、義勇は前と変わらず無愛想なままだった。
「俺ではなく、錆兎がなるべきだ」
「なに?」
義勇は予想通りの結果だった。
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❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時