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「いやぁ、ホンマに堪忍な、兄ちゃん」
俺は何をしてるんだろう
「いや…ちゃんと見ないで走り出した俺が悪い」
「はっは、完全に連れとはぐれてしもたなぁ」
そのまえに、お前誰だよ!!??
掴みかかってきた時は威勢があったが
「すまへんかったな、捜し物が見つからんでイライラしとったんや」
結局ズボンの中にあったんやけどな───
そう言って男が見せてきたのは
ボロボロになったストラップだった。
「なんだよ、それ」
「俺の宝物。他人が見たらどうでもええかもしれへんけど、大切な物なんや」
その時、何か懐かしむように目を細めた彼は
その見た目とは裏腹に優しい顔をしていた。
「それは、ちゃんと守らないとな」
「はっは、命に変えてもな」
名前も知らない男と二人
屋台の煙が漂う夜の空を仰いでいる
「あー、俺の宝物は今頃どこにいるのかなぁ」
「こんなイケメンな彼氏ほっとくんか、お前の宝物は」
「彼氏じゃねえよ」
「さっき必死に名前呼んどったやないか、恋人なんやろ?」
「恋人だったらいいんだけど」
「ちゃうのかいな…まぁなんにせよ早う戻った方がええんちゃう?」
「いや、行ったって何も出来ないし」
翔が楽しんでるところに割り込むのは
さすがに引ける
「楽しそうだったし…邪魔したくないから」
なんで俺恋愛相談してるみたいになってんの?
「あ、そういえば、人混みに紛れてケツ触ったりする奴らがおるらしいぞー」
───は?
「ええんか?彼女さんが他の連中にあっちこっち触られても」
「そいつブッコロス…」
「あっはっは、そうこな!早う行き、俺もダチが帰ってきたで」
「あぁ、でも───」
「…兄ちゃん、失うてから後悔しても遅いで」
そんなこと言ったって、既に後悔ばかりなのに
「…わかったよ、じゃあ俺行くから。せめて名前くらい教えろ」
「あだ名なら教えたるわ。ヨコっていうんや」
ヨコ?へんなの
「俺は潤。じゃあな」
「おう」
次に会う手段なんて持っていないけれど
彼とはまたどこかで必ず会う気がしていた。
人混みを縫って、走る
今は、翔に会いたい
.
───「ヨコ!どこにいたの?」
松本潤が走り去って行ったあと
息を切らした一人の少年が横山のもとへやってきた。
「おお、二宮。すまんな捜し物しててん。やけどもう見つかったから大丈夫や」
「ってか誰かと喋ってたの?」
「ん?…あぁ、彼女とはぐれてしょぼくれとったやつを励ましとっただけや」
「早く行こう、みんな待ってるよ」
「はいはい」
少年の名前を、二宮和也という───
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作者名:カフネ | 作成日時:2019年2月16日 13時