17 夏祭り(3) ページ32
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自分の幼馴染が
目を惹かれるような美しいものだと気づいた時
何か宝物を見つけたような興奮と
若干の震えがしたのを覚えている
『なぁ、櫻井って女子より可愛くね?』
『はぁ?あいつ男だぞ?』
たまに他の奴らがそれに気づきそうになると
宝物が奪われてしまうような
すごく嫌な気がしたことも覚えている
それが焦りに変わったのはいつからだろう
17 夏祭り(3)
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「───翔!」
人混みをかき分けてなんとか手を伸ばそうとする
翔を支えている男がそっと腰に手を回すのが見えた。
イラッ───
勝手に…触るんじゃねぇ!!
「しょ…!」
ドンッ
無理に人混みに突っ込んだから
肩が誰かとぶつかって
「おい!どこに目ぇ付けとんねん!?」
そう言って掴みかかってきたのは
関西弁を話す金髪の男だった。
。
。新・登場人物
。横山裕 気のいい関西人の高校三年生
。二宮和也 ??謎??
。
「───!」
あれ?今……
「櫻井どうしたんだ?ボーッとして」
「いや、いま潤に呼ばれた気がして」
そんなまさか──
「櫻井…お前あれだろ、やっぱ松本がいねぇと寂しいんだろ?」
「来れなくて残念だったね、櫻井くんせっかく浴衣まで着てめっちゃ可愛いのに」
にやにやしながらみんなが言う。
「…確かに潤には来て欲しかったけど…でも浴衣姿はどっちかって言うと見せたくないな」
「えぇ〜なんで?似合ってるのに」
「なんか頑張ってるように思われたら嫌だし……馬鹿にされそうで。きっとケンカになっちゃうよ」
ずっと一緒にいたからこそ、普段見せない姿を見せるのは恥ずかしい
「まぁ、でも松本は櫻井の浴衣姿見たいとおもうけどなぁ?」
「櫻井くん、ほんのすこーしでも松本くんから大切にされてるなって思った時はないの?」
それは───
貧血で倒れた時の心配そうな潤の顔
先に行ってろって優しく言われた時の声
俺から離れるなと約束した時の肩の温もり
気づかないうちに俺は
たくさんの優しさを潤から受け取っていて
それをまだ何も
返せていないのかもしれない───
「…櫻井?どうした?」
「ううん、なんでもない」
ただ少し目線で潤を探してしまう。
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作者名:カフネ | 作成日時:2019年2月16日 13時