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そう、あれから俺は相葉くんに会いに行った
C組での彼は人気者で
保健室で見せた裏の顔なんて一切感じさせない
紳士で優しい相葉くんだった。
それでもやっぱり二人きりになると
『何しに来たの?』
わずかに表情に陰りを見せた。
『確認しとこうと思って。相葉くん、昨日の放課後に俺が下駄箱にいたの知ってたんでしょ?』
『…なんでそう思ったの?』
『直感』
『へぇ、それを確認するためにわざわざ俺に会いに来たの?君にあんなことしたのに』
『…それと、保健室の時もそう。潤が来るって分かってて俺にああしたでしょ』
『……だったら何?俺が君たち二人の仲を引き裂こうとしてやったって?』
いや、そうじゃない
『…俺たちに自覚させるためにやったんでしょ?』
お互いの存在が当たり前になってしまった俺たちに
改めて大切さを自覚させるために───
『……はぁ、頭のいい人はこれだから…』
相葉くんはため息をついて
呆れたように頭に手をやった
それから吹っ切れたように
『でも、バレちゃったらしょうがない』
爽やかに笑って言った。
『やっぱり…どうしてこんなことを?』
すると相葉くんは
『俺自身が後悔したことがあったからだよ』
少しだけ悲しそうに目を伏せて。
『二宮和也って知ってる?櫻井くんと同じ施設の子なんだけど』
え───にのみや、かずなり……って
『……知ってる。施設で同じ部屋だった』
『俺らも君たちと同じだったの。隣にいるのが当たり前の親友だった』
だけどね───相葉くんは続ける。
『ある日突然いなくなっちゃったんだ。里子に出されたってあとから知って』
そうだったのか。
俺が引き取られた後の話だろうか。
『だから櫻井翔って名前を聞いた時は驚いたよ、だってカズがいっつも話してた子の名前だったからさ』
こんな偶然あるのかってね───
『そう、だったんだ』
『ごめんね、俺の勝手な思い入れであんなことしちゃって──でもね、後悔して欲しくなかったんだ
二人はせっかく一緒にいられるんだから、もっとお互い大事にしなきゃ』
『うん、ありがとう。相葉くんのおかげでちゃんと潤とも話せた』
そう礼を言うと、相葉くんは照れくさそうに笑った
それは昔見たニノのはにかむ顔にそっくりで
ニノとも再会できればいいのに───
なんてことを思った。
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作者名:カフネ | 作成日時:2019年2月16日 13時