【暗殺教室】放課後、月のカフェで５ (ページ45)

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そんなの全然…ひとことも聞いてないよ、かるまくん。
…その…怪物？超生物…？のことは、混乱を避けるために機密情報として扱ってたっていうから、話せなかったのも当然、なのかもだけど。

『俺は無事だよ』
『信じて』

たったそれだけ。ものすごく簡素な返信だったけど…ただ返事があっただけで、こんなに安心しちゃうことって、なかなかないと思う。

電話、折り返せなかったっていうことは、かるまくん、今はそれどころじゃないのかな。
それは…そっか。世間も騒然となっちゃってるけど、かるまくんのクラスは今、もっと、すごく大変なことになってるんだよね、きっと。先生が、殺されちゃいそう、なんだもんね。
それなのに…自分のことだけで手いっぱいになっちゃっても全然おかしくない状況なのに。ちゃんと伝えてくれたんだ。

かるまくんの無事。私にとっては、それがいちばん大切だから、ほんとによかった。
それから…信じて、だってさぁ。私がかるまくんのことを信じなかったことなんて、今までに一度もなかったと思うんだけどな？
かるまくんからそんな風に言われたら、どうなんだろうって考えて、悩む意味もなくなっちゃう。
その、今問題にされてる怪物さんが、政府を脅したかどうかは知らない。生徒を人質みたいに扱ってるって、大人たちにそう取られるような言動をしてたかどうか、なんて、私はわかんないけど。
かるまくんの今までの、ぜんぶ。私が今日までに見てきたものと、聞いたことの、全部を、私は信じるよ。

「夜なのに、この話ばっかだね」
「大事件だからね…まあ、仕方ないかも？」

だって、来週には地球がなくなっちゃうかもしれない…なくなるかもしれなかった？んだもん。きっと今みんなが1番知りたい情報だから。特集とか、緊急生放送とか、そんな番組ばっかりだ。
あの山に向かう道は全部、通行止めにされてるんだって。家の外はなんだかピリピリしてる。つまんない、とリモコンを弄びながら口を尖らせる透。

「透はどう思う？」

世間一般の意見は、そんなの酷い。かるまくんたちがかわいそう…なんだろうな。

「…まさかって思ってるんだけどさ」

やっぱ気になるしはっきりさせときたいから聞く、ってやけに溜める透に首を傾げる。

「このクラスに姉ちゃんの彼氏いたりする？」
「察しがいいね…」
「…」
「今ねぇ、実は…ものすごーく怖い」

私にはなんにもできない。ただ待って、祈るだけ。
なんて無力なんだろうなぁって、思ってる。