【暗殺教室】放課後、月のカフェで５ (ページ43)

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「お疲れAちゃん」
「うん、かるまくんもね。もう3月なのに、まだまだ寒いよねー」
「そうだね」
「ふふ、卒業するの、かるまくんでも寂しかったりするの？」
「…どーだろ」

俺でも、って、なんか引っかかる言い方だなって苦笑いを浮かべて、ちょっと考えるみたいな顔をする。

「まあでも…あの教室ほど、色んな奴が自分の意見を思いっきり主張できる場所なんて、もうないかもなとは思うよ」
「そっかぁ」
「…何をニヤニヤしてんの」

そういう場所に出会えることって本当にすごいことだなって思って。
なんか、よくわかんないけど、ほんとに良かったねぇって気分になってるの。迷子だったかるまくんは、そういう場所に出会えたんだね、って…私は保護者？違いまーす。
そういう場所を作れちゃう先生と…かるまくんと、かるまくんのクラスのみんな…みーんな、ほんとにとってもすごい。これも、ご縁に感謝案件だねー。

今まで差別対象だった奴が自分たちよりも上に立った時の本校舎の奴らの顔を、3年間見て笑ってやるんだって、とっても素敵な性格をしたかるまくんはものすごーく良い笑顔で言ってた。うん、ほんとにいい性格してると思う。散々嫌な思いさせられたんだし、それくらいはやっちゃっていいでしょ、いけいけーって思ったのは内緒だけども。
かるまくんがE組の生徒だから、内部進学組から多少の風当たりもあったりするのかなぁとかも、ちょっと思ったけど。かるまくんはそういうのにはぜーんぜん、屈したりしないだろうね。出会ってもうすぐ1年になるけど、誰かに何か言われたとかばかにされたとか、そういうので落ち込んでるかるまくんは見たことないし。…むしろ相手を言い負かしちゃうタイプだと思う。

「あ。高校に行っても、あの子がいるんだよね、浅野くん！」

かるまくんとあの子は、違うけど、どこか似てる。2学期の期末テストでも、たった1問が勝負を分けるようなばっちばちのトップ争いをして…その時のかるまくんは、とっても生き生きしてた。高校でもそれを続けるんだろうなって、なんとなく思う。

「うん。なんか微妙に癪だけど、あいつは椚ヶ丘に行くって決めた理由でもあるし」

これからの楽しみもちゃんとあるなら、きっとかるまくんはだいじょうぶだね。

「また明日ね！」
「んー」

いつも通り、ばっちり家まで送られちゃって、かるまくんの姿が見えなくなるまで見送ってから家に入った。