【暗殺教室】放課後、月のカフェで５ (ページ27)

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安全性が実証されてない…それを実証するための、他人の知識と技術に生徒の命預けさせる教師とか、マジで頭おかしいよね。
実験のデータを受け取る前に、手伝い、と称して普通じゃ絶対に経験できないことをたくさんさせてもらった。

「これで先生が助かるかもしれない。渚としては、それでいいんだよね」

「みんなで決めたことに反対はしないけど、殺せんせー自身は俺たちにどうしてほしかったんだろうなって思って」

どういう意味かって問われて、思ったことをそのまま口に出す。

せんせーが過去のことを話さなかったのは、俺たちの殺意が鈍らないように。俺たちに殺して欲しかったから。その頭に『殺されるなら』って言葉が付くとして。殺せんせーの中の、殺される以外の選択肢には、地球を巻き込んだり自ら死ぬこと以外に…自分が助かる道はあったのかな。
そういう選択肢がなかったとしたら、それは自分には助かる見込みはないって、ハナから諦めてたから？それとも…。なんて、他の奴が頭ん中で考えてることなんか、いくら考えてもわかるわけないし。例えば、せんせー自身は暗殺を続けて欲しいって思ってたとしても、クラスの意見が助けたい、に固まった以上は、せんせーがそれを口にすることはないだろうって思うけど…。

無事に地球に帰って。早速コピーさせてもらったデータを見て。
爆発を1％以下まで抑える薬品と、ほぼ同じものが1学期のうちに作られてたってこともわかった。拍子抜けだけどまあ…現代の科学じゃせんせーを助けんのは無理だった、とかよりずっといいか。

本当に、宇宙旅行はもう二度と御免だ。緊張して、働いて、あれこれ考えて…あり得ないくらい疲れた。

「いらっしゃいませー」

いつも通りの笑顔で迎えてくれる。…俺も結構単純なのかもな。
ネックウォーマーとコートと鞄を荷物カゴに入れながらいつもの席に座る。他の客や、仁井さんまでいるなら、迂闊なことはできないけど…まあ、ここにいるだけで割と落ち着くから、いいや。ちょっとくらい我慢しよう。

「Aちゃん」
「はーい」

Aちゃんは俺がここで食べてるのを見るのが好きとかなんとか、いつだか言ってたけど…俺も結構、好きなんだと思うよ。Aちゃん、どんだけ忙しそうでも楽しそうだし。

「イチゴ煮オレとシフォンケーキで」
「かしこまりましたー。ちょっと待っててね」

糖分を摂取してちょっとはマシになったかな。今日はAちゃんのバイト、何時までだっけ。