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「…えっとね、あのね！公園とか、行ってみない…？」
「今から？」
あまりに唐突かつ不自然なお誘いに、当然怪訝な顔をする。それはそう…早く帰りなよ〜って言ってる人がこんな時間に公園に行かないかって誘ってくるんだもん！
でもね、住宅街で告白っていうのはなんか…。ほら、お仕事帰りのどこかのお宅のお父さんとか、OLさんとかが通りかかったりしたらちょっとやだし。近所の公園は小学生が遊びに行くようなとこだから、この時間なら、たぶん人もいないでしょ？
「えっと、うん、今から…」
「別に行ってもいいけど」
「ほんと？ありがと〜」
どうせヒマだしと笑ってくれる彼に一安心。
多少怪しまれてる気はするけども…目的地に行くように促せたからまずは良し。第一関門クリア。
「…夏休み、たのしみだね」
公園につくまでは適当な話題をと思ってとりあえず、目の前に迫った夏休みの話を出しておく。
かるまくんのクラスは、夏休みに特別夏期講習って名目で沖縄の離島に遊びに行くんだって。
「ずるい…。私もついて行こうかなぁ」
「どうやって」
「………わかってますよ、冗談です〜」
海、綺麗なんだろうな…きっとすごく楽しいだろうな。
…いいな。ずるい。ずるいなあ…。私もかるまくんと同じクラスが良かった。…まあ、いろんな意味で無理なんだけども…。
「んで、Aちゃんはこんな薄暗い公園に何の用？」
「…ほんとに暗いねぇ…」
一人じゃないから平気だけど、夜の公園ってちょっと不気味だね。
座ってゆっくり話せそうな場所は、ブランコとベンチくらい。何年ぶりだろうなーって、ほんのちょっと懐かしくなりながらブランコに座る。
大丈夫、シミュレーションだけはいっぱいしたし。自分の素直な気持ちを言うだけだし…それが難しいからこんなに苦労してるんだけどね…！
「…遊びに来たわけじゃないよね？」
「まあまあ。お隣にどうぞ。空いてますよ」
「ブランコなんか久々に乗った」
「私もー」
ゆらゆらとブランコを軽く揺らすかるまくん。よくわかんないままでも、こうして付き合ってくれちゃうんだなぁ…。
っていうか、ブランコって意外と距離あるな…！これは計算外…ベンチの方が良かったかな…。だ、大丈夫、ちょっと距離が遠いだけ。表情は見えるし、声もちゃんと聞こえるから、大丈夫…落ち着け落ち着け。
「…うん。あのね。すごーく、大事な話、していい？」
「うん、いいよ」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
