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「仁井さーん！聞いてください！」
「おっ、デジャヴ。期末、赤点なかった？ちなみに俺はなかった」
「正解です！やりました！！仁井さんは頭いいですもんね！」
自分の勉強もしつつ片手間に私の勉強の面倒まで見てくれる余裕ぶりだもん。仁井さんは相当頭いいと思う。来て早々の報告にも笑顔でよかったね、頑張ったねと褒めてくれる仁井さんに笑顔で頷いて接客に戻る。追試も課題もないからすっごくテンションが高い。
ちなみに告白のこともちゃんと考えてます…一応考えてはいます。気分を高めてノリと勢いでどうにかしちゃおうかとか思ってたけど…やっぱりだめかな。
かるまくんの好みに近づいてみよう作戦は、私が彼の好きな子についてどんな子？とか聞くのは…その誰かに自分を寄せるのは、なんか無理だなって思っちゃったので断念したし。つまりは何も変わってない。彼に出会った当初とそんなに変わらないA成分100％なんだよ。…なにそれ。
「Aちゃん、急に黙ると怖い。さっきまでの元気はどしたー？」
「えっ！？…えへへ…なんでもないでございます」
私的な悩みでお客さんを怖がらせない！と自分を戒めつつ、告白云々については一旦忘れちゃうことにした。
「あ、かるまくん、いらっしゃいませ。ちょっと久しぶり？」
「うん」
…で。そんな日に限って君は来てくれるんだね。嬉しいけども。ここ何日か会えてなかったからさ。
テスト勉強とか、忙しかったのかな。全然余裕、って感じでそんな風に見えなかったけどな…。っていうか、今日のかるまくん元気なくない…？
「どしたの、なんか元気ない？」
いちご煮オレを運ぶついでに、ちょっと気になって声をかけてみた。ちょっと驚いたみたいに目を丸くして、小さく笑った。もしかして、元気がないって自覚なかった？
「……安いプライドをバッキバキに折られてヘコんでた」
過去形ってことは、いつもの元気を取り戻してるとこかな。いや、かるまくんは基本的にローテンションだから元気！ってかんじでもないけども。
「そっか。折れるだけのプライドがあるって、なんかいいね」
かるまくんは確かにちょっとプライド高そうだもんね。それを折られる、傷つけられるって感覚が私はいまいちわからないんだけども。すごく悔しかったんだろうな…だからあんまり人に会いたくない気分だったのかな？
「…Aちゃん、プライドとかなさそうだもんね」
「ひどいけど正解！それで平和に生きられるなら喜んで捨てちゃうと思うな」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
