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かるまくんが一体何をなさったのかと言いますと。何故か背後に回って浮き輪に体重をかけてきた。こっちの方が楽、だって。それはまあ、いいんだけど…！私だけ浮き輪で楽してるのどうなんだろうなって思わなくもなかったですし。
でも、ひと声かけてくれてもいいと思うよ。浮き輪をひっくり返すいたずらでもされるのかと思ったから。
あとなんか…距離が近い。背後にいられるのはなんか落ち着かないなぁって、180度回転してみたのはいいけども…さっきまでよりもぐっと距離が近づいた。正面にいられるのもそれはそれで落ち着かない。
かるまくんはいつも通りだし！正直それがいちばん悔しいかな。なんか私だけが色々意識しちゃってるみたいで。…それって、私ばっかり好きみたいじゃない？
「かるまくん」
「なに」
「……すき」
「…」
いきなりなんなのって笑われるのも覚悟の上でのことばだったけど…かるまくんにしては珍しい顔。ゆっくり口が開かれて、かと思ったら閉じられた。
「…いきなりなんなの？バカなの？」
「ひとこと多いんじゃない！？」
好きって伝えただけでばかにされるとは思わなかったなぁ！？きれいなお耳がちょっと赤くなってるから、照れ隠しの意味もあるんだろうなっていうのはわかるけども。
「恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」
「仕方ないじゃん！」
私の方が照れちゃったせいでかるまくんの照れ照れモードは長続きしなかったみたい。ちょっと呆れたみたいにほんのり熱くなった顔について指摘された。かるまくんだってちょっと赤くなってたくせに！
何が仕方ないのかはよく知らない。でもね、誰かに好きって伝えるのがこんなに恥ずかしいって思ったことないの。
家族、友だち、先輩、後輩、あとは常連さんとか？…とにかく、そういう人たちに対する好きと、かるまくんに対する好きは、ちょっとだけ種類が違うでしょ？恥ずかしいのは、多分そのせい。恋心ってちょっと怖いねー。
しばらく海で遊んで、ちょっと疲れてきたのと、そろそろお昼だから。海から上がることにした。
「Aちゃんこれ着てなよ」
「いやいや、それかるまくんのでしょ？日焼け止めは塗り直すしだいじょぶ〜」
「そういう話じゃなくて」
いやいや、いいから着てな、と平行線のやり取りを続けながらお互いに…かるまくんのパーカーを譲り合う。かるまくんの、なんだけどな…？
「これいつまでやる気？」
「や、こっちのセリフなんだけど…」
「俺が他の奴らに見せたくないの」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
