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水着のお披露目以外で問題が起こるとは思わなかった。
かわいいだなんだって散々いじり倒されて、ほんとに無理だからってお願いして、浮き輪は結局最後までかるまくんに膨らませてもらった。意地悪はしてくるけど恥ずかしいって気持ちはちゃんと汲んでくれるんだから、優しいんだかなんだかわかんない。
かるまくんはそういうの恥ずかしくないのー？って聞いたら別にぃ、だって。間接キスで照れないならかるまくんは一体なにをしたら照れるんでしょうね？
「何？」
「なんでもなーい」
間接キスで照れない子がちょっと長めに見つめたくらいで照れるわけないか。というかこれ、むしろ私が恥ずかしい。水に濡れたおかげでいつもよりもぺたんってなった髪の毛は、ちょっぴりかわいい。
「私そんなに早く泳げないし、つまんなかったら一人で泳いできてもいいよー？」
実際にやられたら、たぶんちょっと寂しくなるとは思うけども…。かるまくんが私のせいでちゃんと楽しめないのはそれよりもっといやなんです。
「…ダーメ。Aちゃん一人にしたらまた変なのに絡まれるでしょ」
それはあれかな。心配してくれてる、って受け取ってもいいの？
「好きで絡まれてないけどねー」
「そうだったんだ？」
「当たり前でしょー」
なんで、初めて知ったなーみたいな顔？好きで絡まれてるように見えてたのかな？
「あと、彼女と遊びに来たのに、放っといてわざわざ一人で遊ぶような奴いないっしょ」
それはそう。…そう、なんだけど…なんか。
「…かるまくんって」
「何？」
「意外とちゃんとしてるよね」
ちゃんとしてないって思ってるわけじゃないんだけども、なんでしょう！かるまくんにそういう風に考えてもらえてるのってちょっと不思議な気持ちだ。…うん、正直かなり嬉しい。
Aちゃんの中で俺のイメージはどうなってんの、とちょっと不服そうな顔でぼやく。
器用で優しくてかっこよくて、頭がいいんだけど時々その賢さの使いどころを間違ってるって思う。…ほんのちょっとだけ、かわいい子。多分、そんなこと大真面目に言ったら、なにそれって笑われちゃうような気がするんだよね。
「なんか、今日のかるまくん優しい〜」
にこにこしちゃいながら、立ち泳ぎしてるかるまくんの頭を撫でてみた。水の中なら身長も何もないからね。むしろ浮き輪で浮いてる分私の方が目線が上。…今気づいた！わー、なんか新鮮。
「…」
「わ、わっ！？…び、びっくりした〜！ひっくり返されるのかと…！」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
