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それ、全然答えになってないよ。
「おかえり、かるまくん」
「…ただいま。Aちゃん、寂しかった？」
振り返って、ようやく…久しぶりに見られたかるまくんの笑顔に、安心しちゃってる私がいることは、秘密にしておこうかな。
こういう時は、寂しくなかった？って聞くものだよ、たぶん。そんな顔で聞かれちゃったら、素直に言おうと思ってたとしても言えないと思うし。なんか、色々間違ってる気がする。何が正解なのかは私も知らないけども。
「ん〜。…ん？」
どっちにしても、上手い返しは知らないし。抱き着くのも、なんかちょっとハードルが高い気がしちゃったので。ちょっぴり悩んで、荷物をいったん足元に置いて腕を広げてみることにした。かるまくんが全然察してくれなくて、ただの間抜けな人になっちゃうかもだけど。…なにしてんのって笑ってくれるなら、それもいいかもなぁって。
「…なーに可愛いことしてくれてんの？」
彼の浮かべた笑みは予想してたものよりもずぅっと柔らかい。あと…な、なんか一言多くない…？
「ん、ゎ…っ」
なにやら私があまり言われ慣れてないような台詞を宣った彼に、優しく抱き寄せられた。こつっと小さな音を立てて私のおでこがぶつかったのは、かるまくんの鎖骨のあたり。そんな現状を把握しただけで馬鹿正直に上がる体温と脈拍が恨めしい。
ちがうの、これはあれ。抱きしめられてあったかくて、ちょっとほかほかしてるせいですし…！？誰にともなく言い訳してみたけど、全然だめ。その程度で気が紛れるなら困ってない。
かるまくんの顔も見られない。ほんとに無理。
…だけど、もしかしたらかるまくんも少しくらいは寂しいって、早く会いたいって、思ってくれてたのかも。もし、そうだったとしたら、嬉しいな。
やり場に迷ってふわふわ彷徨わせていた手はかるまくんの服を掴むことで落ち着かせた。
「…Aちゃんから提案してきたんじゃなかったっけ？」
くすくす笑う声が耳の近くで聞こえて、びっくりしちゃった。
「…や、えっと、そうなんだけども…」
「耳、真っ赤だよ」
「そういうのは見て見ぬふりをするのが紳士だと思う！」
いや、紳士がそういう時にどうするのかは知らないけども…。わざわざ指摘するのはどう考えてもただの意地悪でしょ。というか、なんでかるまくんはそんなに余裕なのかな？悔しいとかなんとかを通り越してちょっと怖いです。
「あつい」
「暑いなら離してもいいんだよ？」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
