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かるまくんはきっと『寂しい』なんて口にはしないと思う。
…もしかしたら、そんな自覚すらないかもしれない。
「かるまくん、一人暮らしみたいなものだって言ってたよね。家事とか、一通りできるの？」
休憩を挟んで、お昼には宅配ピザを食べて。
頑張れば今日中に終わるかも…終わるといいなぁ？程度だった課題が、ほんとに終わっちゃった…わかんないとこ、たくさんかるまくんに教えてもらっちゃったけども。
疲れたなぁって伸びをしながら、雑談をするのと同じ感じで、そういえば、と切り出してみた。
「ん〜まぁそれなりに？」
「そっかー。偉いね」
家の中をしっかり見て回ったわけじゃないけど、ごみがたまっちゃってるとか、お掃除が行き届いてないみたいな様子は一切ないように見えた。痩せすぎてる風にも見えないから、自炊かどうかは置いておくにしても、ご飯もちゃんとバランスよく食べてるんだと思う。
所謂普通とは少し違う気がするけど、普通のことみたいに、別に、当たり前でしょって言われちゃった。まだ中学生なのに随分としっかりした子。
家庭環境の影響で、そうならなきゃいけなかったのかな。それとも、かるまくんがこんな風にしっかりしてるから、ご両親も安心して家を空けられるのかな。
どっちが先なんだろう、なんて、私がいくら考えても答えが出るはずもないし、かるまくんに聞くこともできないんだけども。
「何？」
「ううん、かるまくんはなんか、すごいなって思ってる」
自分のことは自分ひとりで。中学生のうちからそれが当たり前にできちゃうのって、すごいことだと思うよ。私はまだまだ、いろんなことを家族に頼っちゃうから。
「なにそれ」
「そのままの意味でーす。…教えてくれてありがとね。おかげで数学の課題をやっつけられました」
かるまくんの解説のおかげっていうのはもちろん。よくわかんないけど今日は集中力が長く続いたっていうのもあるかも？
「Aちゃん、理解力は悪くないんじゃない？」
「かるまくんが素直に褒めてくれるの、珍しいね」
普通に喜んだあとで彼が1つ後輩だと思い出した。年下に勉強教えてもらっちゃってる時点でもうだめだな〜とは思うけどね。威厳なんてもう欠片も残ってないかもしれないけども、かるまくんの前ではできるだけかっこいい先輩でいたいなぁって思うのです。
「…私の方が、年上だけどね！一応」
「それ、まだ言うんだ」
「まだもなにも…年齢は何をどうしたって変わらないですから〜」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
