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「かるまくんと仲良くしてあげてね！」
下の道から聞こえてきたのは、聞き慣れない女子の声。それとその発言にツッコミを入れる1班の人たちの声。その声が呼んだ名前の彼が、何とも言えない顔をしてた。誰なんだろう。
それと、お笑い科ツッコミ専攻ってなんだろう。
一足先に下の道に出て、見知らぬ女子高生の背後に立つ。…なんか、やけに距離が近い気がする。カルマ君は人との適度な…つかず離れずの距離感を保ってる人、って気がするんだけど。
「…えっと…そ、そうだ！びっくりした？」
気まずそうに笑いながら振り返ると、カルマ君に尋ねる。なんなんだろう、これ。邪魔しない方が良い感じかな。1班のみんなは帰りそびれてるのか、単なる興味からなのか、2人の様子を見守ってる。
…っていうか…ホントに誰？
「そりゃもう。Aちゃんがあまりにも頓珍漢なこと言ってるんだもん」
「とん…！？そういうびっくりをあげたかったわけじゃないんですけど…」
A、という名前らしい彼女は、カルマ君と随分親しいみたいだった。
「あ、えっと……うん。はじめまして」
二人はしばらく何やら言い合って。僕と目が合うと、ちょっと気まずそうな顔の後、僕らに向けて笑顔で挨拶してくれた。
「……すごいね、その精神力」
「こういうのは第一印象が肝心なの…！」
「もう終わってるんじゃない？色々」
彼女が感じてる気まずさの原因の半分くらいはカルマ君なんじゃ…？とほんの少し思う。
「コレ、Aちゃん」
「これ…」
コレ、という紹介と、雑な指差しは少しお気に召さなかったみたいだけど、特に口出しはしなかった。
「んで、こっちが男装女子の渚くん。それと杉野、茅野ちゃん、奥田さん、神崎さん」
「正真正銘の男です！なんで初対面の人に平気でウソの紹介するの！？」
カルマ君の紹介を聞いてうんうんと頷く彼女はちょっと嬉しそうに見える。でも、僕は男です。ツッコミを入れつつカルマ君の紹介を全力で否定したら、大丈夫、わかってるよ〜と笑った。…いい人。この人、いい人だ。
「かるまくんと仲良くしてくれてありがとうございます。これからも仲良くしてあげてね」
「さっきから思ってたけど、Aちゃんはいつから俺の保護者になったの。そういうのはいいんだけど」
「かるまくん。お友だちの紹介をする時に変な嘘をつくのはやめた方がいいよー？万が一、ほんとに勘違いとかされたらよくないでしょ」
「…はぁーい」
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作者名：nano* | 作成日時：2021年9月14日 21時
