【暗殺教室】放課後、月のカフェで (ページ9)

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「はぁ…もう、お客さんが他にいなくてよかった」

そのあたりは私の体裁が悪くならないよう気を遣ってくれたのかな…いや、たまたまかもだけどいい方に考えておこう。

「コーヒー淹れてくるから、ちょっと待っててね。他に何かいる？」
「ん？…んー、大丈夫。ありがと」

甘みの強いコーヒー豆を選んで、深煎り豆だから、中挽きに。抽出時間が長くなればなるほど苦みや渋みが出るはずだから普段より少し短めに。これでたぶん、甘みの強いコーヒーになる…はず。角砂糖は…4つくらいにしておこうかな？

「おまたせしました～。名前…名前…んっと！Aスペシャルだよ！お砂糖、足りなかったら自分で足してね」
「もう淹れない、って言ってたのに結局ちゃんと淹れてくれるあたり優しいよね。Aちゃんは」
「今更煽ててももう遅いでーす。それよりも冷めないうちに飲んでみて？かるまくん、店長と味の好み似てるみたいだから。かるまくんに好評ならAスペシャルのメニュー化もあり得るかもだよ～」
「ふ～ん？」

コーヒーだけはまだ、お客さんの反応を見るの、ドキドキしちゃうな。うちはコーヒーの味と、店長の手作りスイーツとキャラクターが売りのお店だから。
もう一回隣に座って、じっとかるまくんの顔を見る。飲みづらいって言われたからすぐやめたけど。やっぱり綺麗な顔してるね。

「ん～。すっげー美味しいけど、メニュー化はダメ」
「そっかぁ…何がダメだったか、わかる範囲でいいから参考までに教えて？もっと美味しく淹れられるようにがんばってみるから」

ちょっとがっかり。甘みの強いコーヒーなんて初めて淹れたわけだし、いきなり本番で、そんなに上手くいくはずもないけど。甘党かるまくんのことを考えて淹れた自信作だったのにな～。

「…俺のために淹れてくれたコーヒーなのに他の奴に飲まれんのは、なんかヤダ。だからさ、このAちゃんスペシャルは、俺だけの特別メニューにしといてよ」

これはずっと、俺だけのために淹れて欲しいな、って…。
なに？それ。