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「…って、そんなこと考えてる場合じゃないや」
かるまくんが、『テストが近い』って言ってたでしょ？それはつまり、高校の一学期中間テストももうすぐ、ってこと。高校でのいちばんの目標は、留年は絶対に避ける！…あとは、ゆきちゃんに泣きつかなくていいようにがんばること。ゆきちゃんだってずっと一緒にはいられないし、私も、ずっと迷惑をかけっぱなしになっちゃうのは嫌だから。
つまり、そう、恋がどうとか、そんなことを考えてる暇があったらテスト勉強をがんばらなきゃなの。ちなみに、いちばんの敵は数学。文系科目はまだ何とかなるんだけどね、理系科目と英語はちょっと。
何せ従業員が3人だから、シフトに穴をあけるわけにもいかなくてたまにカフェでお勉強させてもらったりしながらたくさん頑張った一学期中間テスト。結果は…。
「仁井さん仁井さん！聞いてください！あのね！赤点が1つもないんですよ！」
うちの高校のテスト、赤点のラインは60点。全教科でそのラインを超えることを目標としていた。数学とか数学とか化学とか。61点、63点、みたいなすごくぎりぎりの教科もあったけど…がんばってよかったぁ…。
放課後、喜びの報告をとテンション高めでバックヤードから出る。
「今日も元気だなAちゃん。最近頑張ってたもんな、やっぱやればできる子だったろ？」
仁井さんはすごく優しい。にいさんという苗字なだけあって(？)お兄ちゃんみたいな先輩だ。
「Aちゃんよかったね〜」
「はい！」
常連さんにも褒められてしまった。ああ、今日もとってもいい日だなぁ。
「…Aちゃんって、いつも幸せそうな顔してるよね」
「いいことでしょ？私の方が年上だけどね。かるまくんのテストはどうだったの？」
「ん？見たい？」
にんまり笑って、鞄に無造作に詰められたテストの答案用紙を出してくる。
「…な…」
頭、良いんだろうなぁとは思ってた。だって椚ヶ丘の子だから。でもこの子頭のいい椚ヶ丘の生徒の中でも飛びぬけてすごい子…じゃない、かな…？5教科全部95点越えって…数学なんて100点だよ？
「かるまくん、すごいんだね！」
弄られてる時とか、頭の回転が速い子だなとは思ってた…単に私の頭の回転が鈍いだけかなとも…。でも、うわ〜、すごいな…？中学三年生の今の時点で、高校生の私より賢いんじゃないかな。
これは私の方が年上だ云々という恒例行事みたいになってるやりとりについても、ちょっと考え直す必要がありそうかな…？
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作者名：nano* | 作成日時：2021年8月18日 11時
