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赤髪くんが好きじゃないなら、気になる男子はいないの？とは、田原朱音(たはら あかね)ちゃんの問いかけだった。
…うーん。いない、かもなぁ…そもそも高校に入ってから関わった男の人の母数が少なすぎる。部活ができないことの影響が、まさかこんなところで出てくるとは…。異性との交流のなさに自分でもちょっと驚いちゃった。
「Aのことが気になってる男子はいると思うけどね〜。優しいし、天真爛漫、って感じで可愛いから」
「…なっ、なんで急にそんなに褒めるの！？」
「前から思ってたよ」
いや、ないない、と思っていたら、友人から告げられた突然の褒め言葉。恥ずかしくなって顔をぱたぱた手で扇ぐ。そして更なる追い打ちをかけられた。そんなことしても何も出ないよ？
「うーん…！あのね！私は別に、今すぐ恋人がほしい！っていうほど飢えてないからね！今の生活でも十分、とっても幸せだからね！？」
「うん」
「知ってる」
「…あ、そう…？なら、いいんだけど…？」
物凄く男の子に飢えてる、みたいに思われてるのかと思った。違うならいいけど…？
「じゃあ、Aの理想のタイプは今も変わらず？」
「うん、多分ね〜」
何よりも優しさ、すべてはその次。
できれば年上、一緒にいて安心感があるような、頼れる人が良いな。可愛い系よりも、かっこいい系の人がいい。
あ、でもお勉強できるといいな、とか。たくさん笑う人が良いな、とか。私より20センチくらいは、背が高い人が、とか……。
「ん、んん…？」
「どしたー？」
「なっ！なんでも！？」
あれ。なんか…なんか。
…私の恋人にしたい人の条件、これ…なんか…！
前よりすっっっごく！！厳しくなってない！？
例えば、もし仮に。時間の経過とともにこのハードルが高くなっていくとしたら…？それは、なんだかまずいような気がする。男の人に対して、いいかも、と思うことすらなくなって、そのまま孤独死なんてことも…？
いや、それはちょっと話が飛躍しすぎたけど。
私だって人並みに、恋をしてみたいとか、恋人ができたら一緒にあそこに行ってみたい、とか、なんか…こう…そういうことへの憧れはある。ある、はずなんだけどなぁ…。
今までもそうだった。かっこいいな、とか、優しくていい人だな、と思う人はいても、その人とお付き合いをするとかそんな風に考えたらなんだか、何かが、違うような気がしてしまう。この人が好き！とは、思えていない…と思う。
それって…なんでなんだろう…？
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作者名：nano* | 作成日時：2021年8月18日 11時
