【暗殺教室】放課後、月のカフェで (ページ38)

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「まだ日は落ちてないよ」
「夕暮れ時に襲われてた男の人いたじゃん…！」

あー、そういえばいたね、とけらけら軽い調子で笑う。いやいや、笑い事じゃなくて…。

「はいはい。一人で歩けるようになるまでは、俺が責任もって一緒に歩いてあげるよ」

透に迎えに来てもらおうかなぁ…でも絶対面倒くさいって言われるだろうな…。あれは映画の中の出来事だし…！やっぱり一人で帰るしか…。と決意を固めかけたところで、かるまくんが笑った。

「…え、あ、いや…それは申し訳ないっていうか、その…完全に私の問題だし…」
「なんで急に遠慮するの。責任取れって言ったのそっちなんだけど」
「い、言ったけども…あれは勢いっていうか…！」

遠慮するよ、それはしちゃうよ。当たり前だよ。
かるまくんは意外と律儀な子だからほんとに怖くなくなるまでついてきてくれそうだし。もう大丈夫って言っても嘘は見破られちゃいそうだし…。
真顔で、なんで遠慮するのと言われて、脳内であれこれ理由を考えてみた。
かるまくんだって他にしたいことややらなきゃいけないこともあるはずなのにそんなのに付き合わせちゃうのは申し訳ないし、大体、君がそこまでする理由も…。

「そうだよ。かるまくんがそこまでする理由なんて、どこにもないでしょ？映画を見るって最後に決めたのは私だし、今だって、私が勝手に怖がってるだけ。だから、かるまくんは何にも気にしなくていいんだよ。ごめんね、さっきのは忘れてー？…ね？」
「理由？理由ね…。俺が、もっとAちゃんと一緒にいたいから…じゃ、ダメ？」

もっといっしょにいたい。
たぶん…そう思ってたのは、きみだけじゃないよ。君の言葉に込められた意味は単なる寂しさや名残惜しさかもしれないけど…それでも、そう思ってくれてる事実があればいいかな。
笑うでも、茶化すような雰囲気でもなくて、真っ直ぐに私の目を見て伝えてくれた。綺麗な目。
顔が燃えてるみたいに熱い。心臓の音が目の前にいる彼に届いてしまいそうなくらい早く、大きくなる。

「だっ、だめ…じゃ、ない…」
「…顔、真っ赤なんだけど」
「あぁぁ…！何も言わないで、っていうか今見ないで！ちょっとまって、ほんとにまって…」

だめだ、これ、だめ。ほんとにだめ。なにがだめって…わかんないけど！もうだめ、一回でも意識なんてしたら…したら。しちゃったら……！

拝啓ゆきちゃん
私が好きになったかもしれない男の子、年上で優しいお兄さん系男子！じゃ、なかったです。