【暗殺教室】放課後、月のカフェで (ページ28)

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ちょっと可愛いって言われて、次の日の朝に挨拶されただけでこの動揺ぶりはきもちわるいなって、正直自分でも思います。指摘されるまでもなく、わかってる。
わかってるんだけどね…？寝顔を人に見られる機会なんて、合宿か修学旅行くらいだと思うし…それだって男の子に見られることなんてまずないはずだし…寝顔が可愛いなんて、女の子からだって言われたことないし…。
そう、つまりは大体全部水卜くんが悪いと思う。と自分が授業中に眠っていたことは置いて、人に責任を擦り付けてみる。

「…A、水卜が好きなの？」
「なんでそうなるの…？」

あんなに軽かった足取りはなんだか少し重く、自分の席に着いてすぐに机に突っ伏す。
そこで頓珍漢な質問が飛んできた。誰が悪いわけでもなくて…強いて言うなら、私が色々と気にしすぎなのが悪いと思うんだけども。今は好きとか嫌いとか、そういうのを聞きたい気分じゃない。

「ありゃ、違ったか」
「ちがうねー。いい人だなぁと思いました。あとね、おうちの方向が一緒だった」
「…そーだっけ？」

そうだっけって、昨日一緒にいなかったんだから知らないでしょうよ…。ちゃんと同じ方向に帰りましたよ。かるまくん見つけて途中で別れちゃったけども。

「…Aは人見る目ないから自分の評価を過信しちゃだめだよ」
「ひどい」
「良い子だから、この世の中にいる人全員が善人だと思ってるでしょ」
「そんなことないよ。私、そんな良い子じゃないし…怖い人もちゃんといたよ～」

ほら、この前ぼこぼこにされちゃった怖い人とかね。

「はいはい。えらいえらい」
「こんな警戒心のない生き物がよく今日まで生きて来られたね」
「それなー」
「この世の中も捨てたもんじゃないってことだね」

私を囲んで、なにやらこの世の中を見直す女子高生の一団は正直少しやばいと思う。

その後も水卜くんに話しかけられる度に残念な程に動揺してしまって、やっぱりしばらくは無理だなと思った。お友だちが増えるのはとっても嬉しいんだけどね…ほんの少しだけ猶予が欲しいな。なんの猶予だかよくわかんないけども。
水卜くんのお友だちが何やら盛り上がりを見せていたのは…私の動揺ぶりを笑ってたからとかじゃないといいな…。うん、被害妄想とか自意識過剰とか、そういうやつだ。
大丈夫大丈夫…類は友を呼ぶっていうのがほんとなら、いい人のお友だちは多分いい人なわけだし。考えすぎは良くないって最近になってすご～くよくわかったでしょ。