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「んんん…」
若干傷ついた表情の彼に罪悪感を覚えるけど、女遊びをしてるから気をつけろ、って言われた後に可愛いなんて言われたら警戒しちゃうでしょ？あのタイミングで可愛いなんて言った君もどうかと思うよ…？
「そーいうんじゃなくて、ちょっとした雑談だって！」
「そうなの？なんかごめんね…？彼氏ね、えっとね、いるよ。…と、言うと嘘になります」
「……普通にいないって言えないの？」
あのねぇかるまくん…。いや、まあ確かにそうなんだけども…。
「…カルマ、おまえちょっとわかりやすすぎるぞ」
そして彼は何かを指摘される。元気くんにはかるまくんの何がわかっちゃったんだろう？
「Aちゃんはわかってないみたいだし、別にいいんじゃない？」
「…なんか、苦労してんだな」
疲れたようにテーブルに突っ伏すかるまくんと、ちらりと私の顔を見て彼に憐みのような視線を向ける元気くん。なんの話なのか、かるまくんが何に苦労してるのか。さっぱりわかんないけど。わかってないってわかってるのに教えてくれない方も悪いと思うんだけどなぁ…？
「じゃあ、俺はそろそろ帰るわ」
「あ、はーい。お会計ですね」
「じゃあね、Aおねーさん。また来るから！」
「うん、ありがとう。待ってますね」
お見送りをしたら、雨が降っているのに彼の真上だけは晴れてるのかな？っていうくらいの明るい笑顔で手を振ってくれた。やっぱりこの子は元気くんで決まりだ。太陽くんでもいいけど。
後ろから二度と来なくていい、と大事なお客さんを払ってしまうようなセリフが聞こえたのには苦笑いしちゃった。私の目には結構仲良さげに見えてたよ？
今日のバイトは18時まで。ここからは店長にバトンタッチ。
「…かるまくん、ほんとにうちの店好きだよね。気に入ってもらえてるのは嬉しいんだけど、かなり遅い時とかあるし…親御さんに、心配されてない？」
「言ってなかったっけ？うちの親どっちもすげー変人でさ。ほとんど家に帰ってこないからへーき」
「……そか」
平気、なんだろうな…ほんとうに。何でもないことみたいに言われてしまった。
「ね、かるまくん」
「ん？」
「…やっぱり、なんでもない。もう上がる時間だから。着替えてくるね」
「ん。お疲れAちゃん」
「うん。ありがとう」
本人が気にしていないことを私がどうこう言うのもなんか変だよね。…でも、まだ中学生なのに家ではほとんど一人なんて…寂しくないのかなぁ…。
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作者名：nano* | 作成日時：2021年8月18日 11時
