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「A、オレ今日ほんと頑張ったんすよ。バイト行きたくなかったけどちゃんと行ったし、理不尽にクレーム入れてくる奴にもちゃんと対応して、」
『頑張ったんだね、えらいなぁガクくんは』
部屋に入った途端に玄関でAになだれ込んだオレを、慣れたように抱きしめて、そのままゆっくり、オレに負担がかからないよう座ってくれるA。
どうでもいいオレの愚痴にも、Aは馬鹿にしたり批判したりしないでくれて、優しく頭を撫でながら話を聞いてくれる。
涙でぐちゃぐちゃになったオレの頬を、いっさい嫌な顔せず柔らかく撫でてくれてくれて、そのまま額にひとつキスをしてくれる。
「A、」
『んー?どしたのガクくん』
名前を呼ぶと、嬉しそうに目を合わせてくれるAが愛おしい。この部屋のなかでは、互いに互いのものだった。
なんでもないと伝えると、また楽しそうに笑う︎︎A。抱きしめる腕に少し力を込め、思考が溶かされ、不安なこと、しんどいこと全てが、朧気になっていく。
まるでキミは麻薬だ。
ゆっくりと呼吸しながら、Aの声に溶かされ、泣きながら目を瞑る。
もうきつく閉じることはなくて、脱力しきった身体全てをAに預け、触れ合うとこからじんわりと伝わる熱に、意識を全て傾けた。
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作者名:404 | 作成日時:2023年9月18日 4時