(3) ページ5
『聞いて、ガクくん』
『浮気じゃない、俺が好きなのはガクくんだけで、あの子は偶然会っただけの大学の友達』
「...偶然会っただけの友達と、なんで恋人との約束破ってまで遊ぶんだよ、」
『買い物に付き合ってもらってたんだ』
そう言って、俺は今日買ったリングを片方取り出して、ガクくんの指にはめた
これが免罪符になる訳ではない。けど、どんな子よりもガクくんが好きだと伝える為には、1番これがいいと思った
「これって...リング?え、なんで、」
『久しぶりに会えるから、舞い上がっちゃって。色々見てるうちに時間過ぎちゃって、連絡出来なかったのはサプライズしたかったからで』
『ごめん、許してほしい訳じゃない。ただ、ガクくん、好きだよ、ガクくんだから好きなの』
リングをはめた方の手を強く握る。俺より大きくて、骨ばった細く綺麗な手指
俺はこの手が大好きだ
「ばか、不安、っ、だったんすよ...?オレ、もうダメかもって、」
そう言って俺の手に恋人繋ぎで握ってくれる動作が、とても愛おしかった
『ガクくんがいいの俺』
『不安にさせちゃって、約束守れなくてごめんね』
「次はないからな!」
また少し泣きそうになって、握っていない方の手で目を擦るガクくんに、先程渡したリングの片割れを渡す
『それ、ペアリングなんだよね。もし良ければ、ガクくんにつけて欲しいな、って』
そういえば、ガクくんは照れくさそうに笑ってから、ゆっくり手を解いて、そのまま俺の手にリングをはめてくれる
もちろん、その後は恋人繋ぎをし直して
「帰りましょうか」
『うん、帰ろう』
お揃いのリングをはめて、のんびりと手を繋いで歩く
もう泣く必要はなかった
12人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:404 | 作成日時:2023年9月18日 4時