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/Aside
『ガクくん!!』
今日は久しぶりにガクくんと会う予定だった
ちょっと遅い時間の集合だったから、せっかくだし何かプレゼントでも...なんて思って店に行けば、偶然同じ大学の子に会った
なんでもその子も、彼氏さんに贈り物を考えていたそうで
お互いアドバイスし合えると思って、惚気合いながら集合時間をちょっと過ぎた辺りでやっと決まった
ペアのリング
ちょっと照れくさい気もするが、過剰に伝えるくらいが俺たちにはちょうど良い
1番最初に入ったお店に置いていて、黒にゴールドのラインが波線のように引かれている、シンプルだが美しいデザイン
それがどうにも忘れられなくて、何件も回った最後にわざわざ買いに戻った。それのせいで少し遅れたと言っても過言じゃない
『ガクくん、喜んでくれるかな』
ぼそっと呟いた言葉が、幸福感に満ちているのに自分でも気付いていた
ガクくんに遅れることを連絡をし、彼女も最寄り駅が一緒だから同じ電車に乗る。そっちも彼氏さんと連絡をしていて、俺と買い物したことを早々に伝えているらしい
俺も伝えようともう一度トーク画面を開こうとしたが、話すうちにボロが出そうで辞めた
「なにしてんだよ、少し遅くなるって言って、堂々浮気か?」
間違った。直ぐに気づいた
この状況、きっと俺が見ても浮気を心配する。その上ガクくんは俺より不安になりやすいから、だから今まで細かく連絡していたのに
ガクくんが泣いてることは直ぐに気付いたが、頭の中にガクくんの少し震えた声が何度も何度も反芻して、何をすることも叶わないくらい焦っていた
「大丈夫なの?」なんて聞いてくる彼女の声も届かず、ガクくんが走り去った後少し感覚を空けやっと正気に戻った
彼女には捻り出したか細い声で謝って、返事も聞かないうちに走り出した
『ガクくん!!』
少ない体力も、散々歩き回って疲れきった足にも鞭打って、やっとの思いで追いついた。振り向いた瞬間のガクくんは先より泣いていて、擦ったのか目は少し赤くなり、普段綺麗に引かれている目元の紅も少し崩れている
愛おしい。なんて、元凶の俺が言っていいもんじゃないけど
『ガクくん、聞いて』
「なんすか、っ、もういいっすよ、やっぱりああいう、可愛い人の方が好きになるよな、」
『ガク!!!』
突然呼び捨てで叫んだ俺に、ガクくんは小さく肩を揺らした。驚かせちゃってごめんね
『聞いて、ガクくん』
『浮気じゃない、俺が好きなのはガクくんだけで』
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作者名:404 | 作成日時:2023年9月18日 4時