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嫉妬(1) gk ページ3

/gk(恋人)side
※モブ出てきます



遅い。いくらなんでも遅すぎやしないか
今日は久しぶりにお互いの休日が被って、今晩オレの家でご飯食べて映画でも...なんて約束は、本来2時間前には果たされている筈だった

テーブルの上に並べられた無駄に作りすぎた料理と、2時間前にAくんから『少し遅れる』とだけ残されたメッセージ
メッセージに関しては、オレのその後の返信すら既読がない

今までこんなことは1度もなかった
ドタキャンなんて以ての外、普段なら『楽しみで少し早く着いちゃった』なんて言って抱きしめてくれるのに

冷めきった料理を片付ける気にもなれないまま、気晴らしにAくんも使う最寄りの駅まで散歩に出掛けた

いつもAくんと散歩するときに利用する、駅前のコンビニに寄っても、この後Aくんとご飯を食べることを考えると何を買う気にもなれない
しょうがない、Aくんがこの間飲んでいた炭酸飲料を無意識に選び、それだけを持って会計を終える

独特な味のする炭酸飲料を飲みながら、駅の方まで歩いて行くと見知った人影が見えた
待ちに待った恋人を見つければ、それまでの不満は消え去って、早足でお出迎えをしようと声をあげる


「Aく...」

『あれ、ガクくん』
「ん?あの子が例の恋人くん?」


親しげに隣に並ぶのは、Aくんよりも背の低い、小動物といった表現が良く似合う女性
分かりやすく言おう。オレの真反対な子だ


「なにしてんだよ、少し遅くなるって言って、堂々浮気か?」


自然と言葉に怒りが籠るのがわかった
怒ってるはずなのに、隣の女性が妬ましい癖に
涙が止まらないのは、オレのわがままに今までずっと付き合わせていたことにやっと気づいたからだ

泣いてることに気づいたのか、Aくんの隣にいる女性が「え、ちょっと大丈夫なの?」なんてAくんに話している
オレには出来ない上目遣いも、オレにはない甘い声も、全部が嫌で、何よりそれを許しているAくんを見ていたくなくて、オレはそのまま逆方向へ走り出してた


あーあ、オレ嫌われたな
散歩なんてしなきゃよかった。逃げないでなんともない風に装えばよかった。そもそもAくんに想いを伝えていなければな
走り出す前、Aくん焦ってたな
大丈夫だぜ、みんなの前では今まで通り振る舞うっすから

なんて、考えれば考える程涙が止まらない
どうしたらよかったんだって、現実に向き合いきれない弱さが恨めしい




『ガクくん!!』

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作者名:404 | 作成日時:2023年9月18日 4時

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