ep.55 ページ8
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ボールがフィールドから出たことで、試合が途切れる。倒れた剣城のもとへ、雷門の選手が集まった。ベンチからでは、彼の様子を詳しく見ることはできない。しかし、怪我の様子を見た雷門の面々が、言葉を失っていることだけはわかった。
フェイがベンチに目を向ける。剣城はこれ以上、プレーできないということだ。
立ち上がりかけた私を、鬼道監督が手で制した。これは一体――選手交代はしないというのだろうか。鬼道監督を見上げたが、サングラス越しでは彼の心中を窺い知ることはできなかった。
「……俺は、まだやれる！」
聞こえてきたのは、駄々をこねる子どものような声 言葉だった。痛みに顔を歪ませながら、剣城は観客席の喧騒をかき消すように、大きな声で言い放った。
「やれる！！」
雷門の選手たちは、心から納得した様子ではなかった。しかし、剣城の気迫に負けたのか、立ち上がろうとする彼をただ心配そうに見ている。
「負傷の剣城、なんとプレー続行を選んだ！」
立っているのもやっとという様子の剣城に、私は頭を抱えた。
彼の気持ちは、何となくだが察しているつもりだ。剣城が抜ければチームの士気に関わる。私と選手交代したところで、事態は悪化するだけだ。私のシュートは、お世辞にも彼の代わりになるとは言えない。
だからと言って、ここでベンチに下がらないのは、まったくもって冷静な判断ではない。
――私がもっと強ければ、剣城は選手交代を選んだだろうか？
胸の内にもやもやした感情が立ち込めるが、今は余計なことを考えている場合では無い。私は軽く頭を振って、フィールドの様子に集中した。
「剣城のやつ、大丈夫かよ……」
不安そうな顔で言う瀬戸に、「大丈夫じゃない」と反射的に返してしまった。言ったあとで後悔したが、もう遅い。
「今すぐ医務室行かなきゃいけないくらいだと思うよ。試合が終わったら、あの人すぐに連れていかないと」
「……ああ、そうだな」
剣城の強情はいつまで持つか。そして、万全の状態でも通用しなかったチームザンに、どうやって対抗すればよいのだろうか。
「ストライカーが負傷した、エルドラドチーム０１。果たしてどう立ち向かうのかーー！？」
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
