ep.53 ページ6
「エルドラド！ エルドラド！」
ラグナロク一回戦当日。ラグナロクスタジアムは、超満員だった。それも、エルドラド支持派の人間ばかり。フェーダが私たちを見せしめにしようとしていることくらいは察せられる。
「さあ、いよいよ世界の覇権をかけたサッカー大会、ラグナロクの開始だーーーッ！！」
実況の言葉に、ひときわ大きな歓声が上がる。観客がいる試合は久しぶりで、観客の勢いに、雷門のアウェイユニフォームに包まれた身体が震えた。
「フィールド上空には、これからの激しい戦いを象徴するホログラフ映像が展開！ 二人の剣士の戦いだ！」
見上げると、黒い鎧を纏った大きな体格の剣士と、子どものような体格に白い鎧に身を纏った剣士が、熾烈な戦いを繰り広げていた。剣と剣がぶつかり、甲高い音が鳴る。何度かの斬り合いのあと、白い鎧の剣士が突き出した剣が、黒い鎧の剣士の胴体を貫いた。
子どもが大人を倒す――すなわちフェーダの勝利を意味し、エルドラドを挑発しているのは間違いない。悪趣味なセレモニーにブーイングが上がる。
セレモニーが終わると、対戦チームの選手が、纏っていたローブを脱ぎ捨てた。あらわになった素顔に、息を呑んだ。
「ザナーク……！」
剣城が目を大きく見開いた。それに続いて、錦が「おまん、どうしてここに！？」とザナークを指さす。
ザナークは不敵に笑った。
「そう言うと思ったぜ。俺はもともとエルドラドの人間じゃねぇ。今はフェーダの、チームザンのキャプテンってわけだ」
彼の不敵な笑みに、マインドコントロールされたときのことを思い出して寒気がした。あんな仕打ちは二度とごめんだ。
自身の中に残るザナークの気配を振り払いながら、私はベンチに向かった。他のメンバーも、それぞれのポジションにつく。
「エルドラド、フェーダ、双方の命運をかけた運命の三番勝負・ラグナロク！ いよいよ第一試合の開始だーー！！」
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
