ep.52 ページ5
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フェイは、夕食後のミーティングに顔を出した。彼の部屋で見たときよりも顔色はいくぶんかましになっており、明日の試合にも予定通り出場することが鬼道監督から伝えられた。
「――相手のデータがない以上、この戦術で我々は勝利を目指す」
私たちエルドラドチーム０１の戦術は、キャプテンの剣城を中心とした攻撃的なものだ。キープ力の高いミッドフィールダーに、ディフェンスも固い。素直に、チームとしてのバランスは良いと思う。しかし、相手の実力は未知数だ。少なくとも、身体能力は私たちを凌駕しているだろう。
ミーティングが終わり、私たちは宿舎に戻って休むよう言い渡された。しかし、私は少しばかり体力を持て余していた。フェーダの襲撃が無ければ、休憩後はまた練習が続くはずだったのだ。それが無くなってしまったから、どうにも不完全燃焼だった。
ご丁寧に、ラグナロクスタジアムにはトレーニングルームがあった。エルドラド本部にあったものと比べれば規模は小さいが、設備は申し分ない。
寝る前だから少し身体を動かすくらいでいいかな、とモニターを見ながらトレーニングの内容を決めていると、背後で自動ドアが開く音がした。
「おっ？」
振り向くと、フェイと菜花を除く、チーム０１の雷門メンバーが立っていた。今しがた声を上げたのは錦だ。彼はずんずん部屋の中に入ってくると、私の肩をがしりと掴んだ。
「おまさんも練習やが？」
「えっ、ああ、まあ……」
「ちょうどよかったぜよ！ わしらも練習しょう思うちょったがじゃ！」
錦はそう言って、にこやかな顔を向けてきた。完全に一緒に練習する流れになってしまっている。助けを求めて剣城を見たが、「身を任せるが吉」という顔をしていたので、私は諦めて雷門の面々と練習をすることにした。
試合前の調整として、私たちはゴール前の連携を強化することにした。攻撃と守備の選手の組み合わせを変えながら、ストライカーである剣城にボールを回す。
休憩時間、近くにいた一乃に、私は「そういえばフェイと菜花は？」とたずねた。
「フェイは大事をとって休んでる。黄名子も今日は休むって言ってたよ。フェイのことですごく心配してたから、少し疲れたんじゃないかな」
そういえば、フェイが倒れたときも、黄名子はひどく狼狽していた。チームの中でも特に仲が良い二人と言えばそれまでだが――二人の情報が閲覧できないようになっていたのは偶然だろうか。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
