ep.87 ページ40
「力があるからこそ結束してるんだ。力を持った者同士、大人にも誰にも頼らず生きている」
ＳＡＲＵがエルドラドに宣戦布告したのは、自分たちの居場所を守るためではなかったか。ラグナロクは、自分たちの居場所を無くさないように、私たちと同じ年ぐらいの子どもが、必死で考えた策だったのではないだろうか。
「だからフェーダには価値があるんだ！！」
しかし、だからと言って、これまでの破壊行為が正当化されるわけでもなく、そもそもラグナロクを持ちかけたのはフェーダだから、私にはどうすることもできない。
ＳＡＲＵを、フェーダを何とかできるとしたら、それは――
「力だけでつながって、誰にも頼らず生きていくなんて、本当にそれでいいの？」
――松風天馬。
「……うまく言えないけど、みんなをつないでいるのは、そんなんじゃないよ……！ 胸の中が熱くなって、涙が溢れてきて、一緒になって喜んだり、悲しんだり……そうやって、強くつながってゆくものなんだよ！ ――友達さ！ 友達になるんだ！ 本当の仲間になるんだ！ それが、誰にも断ち切ることはできない、深いところでつながっている絆なんだ！」
松風は、もっと早くにわかっていた。フェーダが、ただの利害の一致で集まった組織ではないこと。そして、ＳＡＲＵがそれに気づいていないことも。
松風の言葉を聞き、今度はフェイが何かに気づいた様子で口を開いた。
「そう……そうなんだよ。僕らは、時空最強イレブンを探して旅してきた。だけど、その旅で手に入れたのは、時空最強イレブンよりも、もっと大きくて、大切なものだった……それが、みんなとの絆だったんだ！」
「絆……？」
動揺が滲んだＳＡＲＵを見て、私は初めて彼を年相応に感じた。丸みを帯びた頬は、まだ大人になりきれない、子どもである証拠だ。
「僕は君たちと同じ、ひとりぼっちだった。だけど、天馬たちと出会って、友達の大切さを知った。友達は、家族と同じくらい、素晴らしいものなんだよ！」
ＳＡＲＵは、フェイの言葉に呆気に取られた様子だったが、すぐに表情をくしゃりと歪ませた。
「違う！ 僕たちは特別な力を持った者同士つながっているんだ！ 友達なんかじゃない！ 僕たちは組織であり、同志なんだ……！」
ふと思い返すと、ＳＡＲＵは今まであえて難しい言葉を使って話していた気がする。リーダーとして組織を守り、エルドラドと対等に取引するために、あえてそうしていたのかもしれなかった。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
