ep.86 ページ39
「やった！ 松風が決めた！」
「ああ」
私は、隣に座っているレイザの腕をがしりと掴んだ。珍しく、レイザも私にされるがままになっている。
点差で負けてはいるものの、流れはクロノストームにきている。
ザ・ラグーンのボールで試合再開。
「お前たちごときが、この僕らに敵うはずない！」
このとき初めて、ＳＡＲＵの表情に焦りが浮かんでいた。ザ・ラグーンはよっぽど追い詰められているのか、生まれた隙をついて、神童が相手選手からボールを奪った。
パスを受け取ったフェイがＳＡＲＵをかわし、シュートの体勢をとった。
「王者の牙！！」
地面をかち割らんとするような、驚異的な威力のシュートは、相手キーパーを押しのけ、ゴールネットに突き刺さった。
「ゴーーール！ クロノストーム一点差まで追い詰めたーーー！！」
その後も勢いのまま、クロノストームは果敢に攻め上がった。ＳＡＲＵのペースが狂ったせいか、ザ・ラグーンは連携が乱れ始めている。
「どうしてだ……どうしてこいつらは僕たちと渡り合えるんだ……！？ セカンドステージチルドレンの僕たちと！」
ＳＡＲＵは悔しげに表情を歪ませた。空に向かって突き上げた拳が、わなわなと震えている。
「僕たちは特別な力によってつながった、最強のチームのはずだ！！」
「……みんなをつなぐものは、力なんかじゃない」
対する松風は、凛とした表情で言った。
「もっといろんな想いで、人はつながれるんだ」
「違う！」ＳＡＲＵが悲鳴じみた声を上げる。「セカンドステージチルドレンの力が、新しい未来を築くんだ！ この素晴らしい力こそが、フェーダのみんなをつないで支えている！」
「ＳＡＲＵ！」
呼びかけたのは、フェイだった。彼は、ＳＡＲＵに――かつての友人に「聞いてくれ」と訴えた。
「今ならわかるんだ。フェーダは、ひとりぼっちで寂しい思いをした者たちの集まりだった。だからこそ、身を寄せあって、支え合って生きてきたんだ！ 力でつながっていたんじゃない！」
「……違う！！」
ＳＡＲＵはなおもかぶりを振ったが、私はフェイの言葉に、自分が今までフェーダに対して、何か勘違いをしていたのではないかと思い始めていた。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
