ep.79 ページ32
「えっと、ごめん。菜花が……？」
「フェイの母親やんね」
「で、あのローブの男が父親で……？」
「今まで支援者Ｘとして、うちらに協力してくれてたやんね」
頭がショートしそうな情報量に、私は眉間を揉んだ。瀬戸が「いろいろあった」と内容を濁すわけだ。
あのあと、雷門のメンバーが集まって、フェイの家族について何やかんや――私も理解しきれていないので、この表現を許してほしい――あったらしい。フェイがチーム０１を裏切ったことにも関係するため、菜花が私たちチーム０１のルートエージェントに情報共有しにきてくれたのだ。
ローブの男はアスレイ・ルーンと言って、フェイの父親らしい。しかし、エルドラドの元幹部であったアスレイは、フェイが特殊能力を持っていることを理由に手放した。そして、フェーダによる宣戦布告があったあたりでエルドラドを辞めた。その後は、フェーダの協力者としてフェイの動向を見守っていたらしい。
菜花黄名子は、フェイを救うため、アスレイによって雷門に連れてこられた。彼女の情報がブロックされていたのは、アスレイが元幹部で、エルドラドのセキュリティに干渉できたからだろう。法に触れている気がしなくもないが、今世界はそれどころではない。
「とにかく、フェイは菜花たちのところに戻ってきたのね？」
「そういうことやんねっ！」
菜花が心底嬉しそうに頷いたので、私は何だかもういいやという気持ちになっていた。フェイ周りの関係は複雑すぎるし、正直私たちは理解してもしなくても大丈夫だろう。
「なら、よかった。明日の最終戦の話はもう聞いた？」
「うん。うちらに任せるって」
「そういうことだから、明日がんばってね」
隣にいるダーナがさっさと帰りたい雰囲気を醸し出してきたため、私はそこで話を切り上げた。
私たちが帰ろうと腰を上げたとき、菜花が「待って！」と私たちを呼び止めた。
「ラグナロク、一緒に戦ってくれてありがとう」
返す言葉が咄嗟に見つからず、私は口をもごつかせた。他の三人は、居心地悪そうに黙っていた。
「こちらこそ」
それだけ言って、その場を離れた。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
