ep.78 ページ31
「最終戦のメンバーについて、我々から提案がある」
第三戦のあと、ラグナロクに出場したルートエージェントの全員が、アルファ・ベータ・ガンマによって集められた。
アルファは私たちを見回しながら、慎重に口を開いた。
「明日の最終戦に向けて、エルドラドは最強チームを選出する。そこで――」
彼は一度、言葉を切った。わずかに視線を落とし、そしてまた私たちのほうを見る。
「最終戦は、松風たちに託す。そう、議長に頼もうと考えている」
私たちのあいだに、どよめきが広がった。プライドの高い三人が、最終戦を松風たちに任せるなんて、思ってもみなかったからだ。
ざわざわと落ち着かない私たちを見て、ベータが「コホン」とわざとらしく咳をした。
「勘違いしないでほしいんだけど……私が言い出したんじゃないわよ？ アルファがどうしてもって譲らないから、仕方なくね」
「もちろん、僕たちならフェーダが相手でも余裕だけど、今回は花を持たせてあげようってことになったんだ」
二人の言葉で大体察した。そして、私たちは三人の言葉に頷いた。敵として対峙して、仲間として一緒に戦って、わかった。松風たちは強い。彼らなら、フェーダの最強チームにも対抗できる。
「……異論はないようだな」
「それじゃ、私たちは議長のところに行ってきます」
そうして三人は議長のところに向かい、私たちもあとは自由時間となった。と言っても、特にやることもないため、部屋に戻って休むくらいだ。
通路を歩いていると、向こうから雷門のマネージャーが慌てた様子でやってきた。瀬戸は私を見つけると、走ってきて私の両肩を掴んだ。
「なあ！ クラッカーとか、パーティー用の飾りとか、どっかにないか！？」
「……えっ？」
「おかえりパーティーに使うの！」瀬戸の後ろから、空野がひょっこり顔を出す。「百円ショップとか、近くにない？」
「早くしないと、戻ってきちゃう……！」
山菜にまでまくし立てられ、私は大人しくパーティーグッズを扱っているオンラインショップを教えるしかなかった。注文して三十分以内に配送されることを伝えると、彼女らは大いに驚いていた。
「おかえりパーティーって？」
「フェイが帰ってくるんだ！」
「フェイが？ あのあと大丈夫だったの？」
「いろいろ、複雑なんだけどさ……」
「ああ、いいよ。急いでるんでしょ」
三人は荷物を受け取ると、「ありがとな！」と言って去っていった。まるで嵐のようだった。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
