ep.51 ページ4
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ラグナロクスタジアムの設備は完璧だった。フェーダが作ったという点に目をつむれば――そんなことができればの話だが――快適なことこの上なかった。
気絶したフェイは雷門のメンバーによって彼の部屋に運ばれた。他のメンバーはそれぞれの合宿所に戻ることになり、私とダーナ、ガウラ、ウォードは部屋の外で待機していた。
しばらく待っていると、部屋の中が騒がしくなった。フェイが目を覚ましたのだろうか、と耳をすませてみると、会話が聞こえてくる。
「セカンドステージチルドレンに、超能力で何かされたんじゃ……」
「それはない。ＳＡＲＵも言ってたじゃないか。僕たちの戦いでは、超能力は使わず勝負するって」
フェイの返答に、私たちの空気が張り詰めた。彼はただ、ＳＡＲＵの言っていたことを繰り返しただけだ。そうわかっていても、ＳＡＲＵの肩を持つような物言いに、心を乱されないわけではない。
「どうだかな」
ガウラがのしのしと部屋に向かい、その後ろにウォードとダーナが続く。私は慌てて三人のあとを追いかけた。ガウラが苛立ちを隠さない声色で「あいつらがそんな約束を守るとは思えん」と続ける。
「ＳＡＲＵは嘘はつかない」
「ハッ」ガウラはフェイを馬鹿にした様子で笑った。「お前、セカンドステージチルドレンの言うことなんか信じるのか？」
一時的とはいえ、仲間に対して棘のある言い方をするのは避けたほうがいいにしても、ガウラの言い分はもっともだった。職場を破壊された身としては、彼らの言葉は信用できない。私たちをひと捻りで潰せる力を持っておきながら、その力を使わないほうがむしろ不自然だ。
しかし、フェイは――そう話す自分自身に戸惑っているかのような表情で頷いた。
「ＳＡＲＵは、嘘はつかない……そんな気がするんだ」
フェイの返事を聞いたガウラは怒りのままに「敵を信じるとはな！」と吐き捨て、部屋から離れていった。ウォードとダーナもさっさと自分たちの部屋のほうへ向かってしまい、ひとり乗り遅れた私に、雷門メンバーの視線が集まる。
「え、ええと……ああ言ってるけど、三人とも、明日の試合はちゃんと協力するから。……じゃあ、そういうことで。ゆっくり休んで」
しどろもどろに言い、逃げるようにその場を去った。通路の角を曲がり、フェイの部屋が見えなくなったところで大きく息を吐いた。
フェイの言葉で、雷門とエルドラドに大きく溝が空いてしまったような気がした。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
