ep.77 ページ30
「エルドラドチーム０３、ついに誰ひとり動けなくなってしまったーーー！！」
終わりだ――背中に嫌な汗が流れ、呼吸が浅くなる。
フェイのもとへボールが転がった。西園は何とか立ち上がろうとしていたが、やはり痛みに耐えられないのか、その場にうずくまった。
フェイはそんな西園を前に、どこか迷うような素振りを見せていた。しかし、それも一瞬で、念動波をさらに強めた。これ以上は、松風たちがもたない。
「――フェイ！！」
チーム０３の悲鳴に混じって、観客席から誰かがフェイに呼びかけた。声の主は白いローブを被っており、誰かはわからなかった。
「フェイ！ 指示を聞くな！」
すると、松風たちの表情が和らいだ。フェイが念動波を止めたのだ。ローブの男は、変わらずフェイに「もうやめるんだ！」と訴えかけた。
フェイは、ローブの男とＳＡＲＵ、そして松風を交互に見やった。チーム０３を潰そうとするＳＡＲＵ、それを止めようとするローブの男と松風のあいだで、板挟みになっている。
「うおおぉーーーーっ！」
トーブが雄叫びを上げ、フェイの足元からボールを掠めとった。まだ試合は終わっていない。フィールドの選手たちが我に返り、ボールを追い始めた。
空中のボールに向かって、松風とチームガルの選手が同時に飛び上がったその瞬間、試合終了を告げるホイッスルが鳴った。
「試合終了ーーー！ ２対２の同点！ 引き分けに終わってしまったーーー！！ エルドラド対フェーダ、三戦目はなんと引き分け！ これでラグナロクは両陣営ともに、一勝一敗一分けとなりましたーーー！！」
ラグナロクに延長戦はない。しかし、これでは「勝った数の多い方が世界最高意思決定機関の実権を手にする」というルールに、どちらも当てはまらない。
どうなってしまうのだろう、とみんなが戸惑う中、突然フィールドがざわついた。見てみると、フェイが地面に倒れていた。松風が駆け寄るが、チームガルの選手に行く手を塞がれている。フェイは、ローブの男に抱き上げられ、通路へと姿を消した。
「――みんな、聞いてほしい。ラグナロクは、改めてもう一度、最終決戦を行うよ！ お互い最強メンバーを選出しての戦いだ。フェーダ代表は僕のチーム、“ザ・ラグーン”！
試合は明日、ここラグナロクスタジアムで行う。すべての決着を明日つけよう。楽しみにしているからね！」
ＳＡＲＵの言葉で、ラグナロク第三戦は幕を閉じた。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
