ep.72 ページ25
「……フェイってあんな感じだっけ」
雷門にいた頃のフェイ・ルーンとまるで違う。ただパワーアップしているだけではない。そのプレーには、松風を圧倒させようと――チーム０３をねじ伏せようとするような雰囲気がある。
ワンダバが難しい顔で言った。
「恐らく、これがフェイの本来の実力なのだろう。セカンドステージチルドレンに関する記憶とともに、セカンドステージチルドレンとしての
「記憶が戻ったから、セカンドステージチルドレンとしての身体の感覚も戻ってきた……」
「そういうことになる」
なら、今までの彼はある意味、本気ではなかったということになる。あの松風を置いてけぼりにできるほどの実力が、フェイには備わっていたのだ。その事実に、見ているだけの私ですら打ちのめされそうになる。――フィールドに立っている選手なら、なおさら。
雷門のボールで試合再開。しかし、チームガルの動きは早く、トーブへ向けたパスはフェイによってカットされてしまった。フェイはトーブを弾き飛ばして進み、シュートを放つ。ノーマルシュートでさえ、勢いに押され西園ごとゴールネットを揺らした。
「フェイのシュートが再び決まったーーー！！ ガル、続けざまの得点でエルドラドを引き離したーーーーー！！」
得点は０対２。
トーブは先ほどフェイと接触した際に怪我をしたのか、右脚を抑えている。痛がるトーブを見て、ガルの選手がくすくすと笑っているのが見えた。――悪趣味だ。
「こんなサッカーをいちばん嫌ってたのはフェイやんね……」
今にも泣き出しそうな声で、菜花が言った。私は、彼女をどう慰めたらいいのかわからなかった。
雷門のボールで試合再開。ボールを持っていた太陽に、フェイが荒っぽいチャージをしかける。次いで浜野や速水も、フェイはお構いなしにぶつかりながら、ゴールを目指していた。ボールがペナルティエリアに入る。拾いにいった西園を、フェイはボールごと蹴り飛ばした。
怯える西園の前に、松風が割って入る。
「やめるんだ！ こんなのフェイらしくないよ！」
フェイは、その松風に向かって、思い切りボールを蹴った。
「ああ……っ！」
菜花が悲鳴のような声を上げる。
松風の身体が一瞬宙に浮き、そして、地面に叩きつけられる。
「……な、なんという激しいプレー！ フェイひとりの前に、エルドラドの十一人が、追い込まれているーーー！！」
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
