ep.69 ページ22
「やった……やったー！！」
ワンダバが座席からぴょんと飛び跳ね、一乃と青山がハイタッチをする。私は安心から完全に脱力してしまい、背もたれに身体を預けた。
「望みがつながったやんね！」
「ああ！」
そう話す菜花と剣城に目を向ける。私の視線に気づいたのか、菜花は私のほうを振り返った。
「うちらの一点は無駄じゃなかったやんね。あの一点で『フェーダから点が取れる』ってことがわかったから、チーム０２のみんなは諦めなかったんよ！」
慰めるように言われ、私は若干の気恥しさを感じつつも、笑顔を返した。
一回戦、もしも私たちが得点できていなかったら、あとに控える選手はシュートをしようと思う気持ちすら削がれていただろう。
昨日、小さな子どものように大泣きした自分が馬鹿みたいに思えた。きっと、雷門の選手も、ルートエージェントのみんなも、みんながみんな完全に納得していたわけではないだろう。試合に負けて悔しくないプレーヤーなんていない。
「剣城、ロビーに行くぜよ！ 神童をうんと労ってやらんとな！」
「はい！」
錦や剣城たちが部屋を飛び出していく。私もアルファやベータたちをねぎらおうと、そのあとに続いた。
ロビーでは、神童と松風、そしてアルファ・ベータ・ガンマの三人と、エイナムが集まっていた。
「神童先輩、やりましたね！」
「ああ。みんなの希望をつなぐことができた」
神童は松風にそう返して、剣城や錦に笑顔を向けた。
そして、今度はアルファ・ベータ・ガンマのほうにも視線を向ける。
「勝てたのはお前たちのおかげだ。ありがとう」
ストレートな感謝の言葉に、三人はきょとんとした顔を見合わせた。
「……ふん。別にあなたたちのためにやったわけじゃないですわ。セカンドステージチルドレンに負けるなんて、プライドが許しませんもの」
「そういうことさ。まあ、僕がキャプテンだったならば、もっとラクに勝てただろうけどねぇ」
照れ隠しなのか、ベータとガンマはやたらと喋った。神童もそれを察しているのか、目元を眉を下げて「そうか」と微笑んだ。次いで、アルファの様子を伺う。
「私はただ任務を遂行しただけだ。……だが、私の胸にずっと渦巻いていた棘のような感覚は消えたようだ」
アルファは自分の胸に手をやった。それは以前、私が倒れたときにアルファが話してくれたことだ。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
